幸福度ランキング1位は沖縄県

2023年8月23日 10時00分更新


 株式会社ブランド総合研究所は、このたび都道府県ごとの住民に対し、幸福度や定住意欲度など地域の持続性につながる指標について調査する「第5回地域版SDGs調査2023」をインターネットを使って実施した。

 その結果、幸福度ランキング1位は74.2 点の沖縄県で3年連続1位となった。2 位は前年に引き続き鹿児島県で72.8 点、3位は前年35位だった熊本県となった。同県は前年の68.2点から72.3 点へと3.9 点の上昇で、47 都道府県中で最も大きく伸びている。

 47都道府県平均での幸福度は68.3 点で、前年の70.1 点より低下した。これは「とても幸せ」との回答が前年の29.7%から27.6%に減少したことなどによるものだ。その最大の理由として考えられるのは「物価上昇」だ。47 都道府県平均では29.7%が物価上昇に悩んでおり、これは前年の21.8%より8ポイント(割合にすれば前年より約4 割増)増加している。一方で、最も悩む人が多いのは「低収入・低賃金」の36.3%で、前年の35.2%より増加している。

 この調査は、住民視点で「地域の持続性」を明らかにするために、各都道府県の住民による調査として実施した(調査対象者:各都道府県の住民約1000人、有効回答数:50,517人、調査期間:6月8日~12日)。

 設問内容としては、幸福度、生活満足度、愛着度、定住意欲度の4項目を数値化するとともに、それらの総合指標として「持続度」を算出している。さらに、持続性に影響しているプラス要因として住民による地域の魅力度と自慢度、そして魅力要因を数値化した。逆に、マイナス要因、つまり持続性を低下させる原因として、住民が感じている悩みや課題に関する質問も設け、そこから各都道府県の状況を比較・分析している。

 幸福度は「あなたは幸せですか」という問いに対し、「とても幸せ」、「少し幸せ」、「どちらでもない」、「あまり幸せではない」、「全く幸せではない」の5段階の選択肢からひとつだけ選んでもらい、それぞれの回答について100点、75点、50点、25点、0点で加重平均したものを「幸福度(点)」とした。

住民による持続度ランキングは1位沖縄県。北海道は2 位、福岡県が3 位

この調査では、幸福度以外に生活満足度、愛着度、定住意欲度についても数値化しており、その4つの指標の平均を「持続度」とした。つまり、住民が「幸せで、生活にも満足し、地域への愛着もあり、住み続けたい」と思っている地域は持続性が高いことになる。逆に、「不幸で、生活には満足できず、地域への愛着もなく、住み続けたくない」と感じる住民が多い地域は、消滅する危険があるということになる。若い世代の人口比率だけではなく、こうした住民の心理に基づいた指標を用いることは、「消滅危機」への対策として重要であると思われる。

 さて、今回の調査による持続度のランキングを作成した結果、1位は3年連続で沖縄県となった。同県は幸福度の他、愛着度と定住意欲度でも全国1位となっている。ただし、76.8 点と昨年の78.9点より少し低下している。

 2位は福岡県で74.0点。前年の77.4点から減少したが、順位は変化なし。3位は北海道で前年の7 位より大きく順位を上げた。4位は熊本県で、前年の72.6点から1.0 点の上昇し、順位も15位からの大幅アップとなった(北海道とは小数点2 位以下に差がある)。震災からの復興の効果もあり、4つの構成指標すべてで大きく順位が上昇している。また、三重県、神奈川県、大分県はいずれも前年より順位を上げている。

物価上昇の悩みが2 年で3.5 倍に

 幸福度や生活満足度などを低下させる要因として、住民がどのような悩みを持っているかを調べた。「あなた自身や家族が感じている悩みがあれば、いくつでもお選びください」という設問で、46 項目の悩みを提示したところ、最も多かったのは前年と同じく「低収入・低賃金」で、47 都道府県平均で36.3%を占めた。前年の35.2%よりも増加している。

 次に高いのは「物価上昇」の29.7%で、前年の21.8%より8ポイント近く増加している。この増加幅は全46 項目中で最も大きくなっている。しかも、2021年の調査ではわずか8.3%だったため、わずか2年間で3.5 倍以上に悩む人が増えたことになる。

 3番目に多かったのは「ストレス」で26.1%、4 番目は「貯蓄・投資」で22.4%で、いずれも前年より悩んでいる人の割合は少なくなっている。なお、「不安や悩みはない」と答えた人は17.4%で、前年の17.3%とほぼ変動はなかった。また、選んだ悩みの個数は1人平均では3.39個で、前年の3.28 個より少し増加している。

15%が老老介護に課題を感じる

 一方で、社会に対しての不満や課題(取り組むべきこと)については、最も多いのは「人口減少・過疎化」で、34.1%だった。続いて「少子・高齢化」が33.8%が多い。この2つの項目は3人に1人以上が課題と感じているという結果だった。

 次いで多かったのは「商店街の疲弊・店舗の減少」の18.7%で前年よりも1 ポイント減少している。「空き家の増加、ゴーストタウン化」も14.7%が課題と感じているなど、地域の過疎化や疲弊を危惧する項目を選んだ人が多いようだ。

 また、台風や集中豪雨による水害、地震などの自然災害とともに、老老介護について課題と感じている人も15.4%いるという結果になった。なお、「不満や課題はない」と答えた人は22.9%で、前年の21.9%より増えはしたものの、8 割近くの人が課題があると答えている。

 また、回答者1 人当たりの不満・課題数は3.67 個となり、前年の3.72 個よりわずかに減ったものの、相変わらず住民は多くの課題を感じているという実態が明らかになった。


<調査概要>
 第5回地域版SDGs 調査2023は、15 歳以上の男女を対象に、2023年6月8日から12日にかけてインターネットで調査を実施し、都道府県の住民をそれぞれ1100人ずつ計51,700人を回収し、調査時点で移転などの理由によりその地域に居住していない人を除く計50,517人の有効回答を得た。調査対象は47都道府県。幸福度、生活満足度、愛着度、定住意欲度という持続指標と、魅力度、自慢度、魅力項目というロイヤルティ指標、そして住民の悩みと、地域の課題に関する設問、各都道府県でのSDGsの取り組み、地域企業のサスティナビリティ貢献度などの評価項目を設けた。

 なお、前年は「地域版SDGs調査」と「地域の持続性調査」として別個に調査・発表していたが、今回は従来通り両調査を統合して実施した。

・ 調査方法 インターネット調査
・ 調査対象 47都道府県の登録調査モニター(15 歳以上)から、居住する都道府県別に抽出
・ 総回収数 計51,700人 (各都道府県から1,100人ずつを回収)
・ 有効回答数 計50,517人 (各都道府県の回答者数は1,056~1,087人)
・ 調査時期 2022年6月8日~6月12日
・ 調査項目 持続指標: 幸福度、生活満足度、愛着度、定住意欲度
・ 発表日 2023年8月17日

ロイヤルティ指標: 魅力度、自慢度、魅力項目(自然、交通など計26項目)
住民の悩みと課題: 低収入など悩み46項目、少子高齢化など課題50項目
SDGs指標: 認知度、都道府県別SDGs評価、ゴール別評価、取組意欲
持続的行動: 消費行動、環境行動、社会行動から計20項目
地域企業評価: 認知度、好感度、サステナビリティ貢献度
回答者属性: 年齢、性別、婚姻、子供の有無、世帯年収、居住形態など

株式会社ブランド総合研究所による調査
https://news.tiiki.jp/sdgs

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