消費者によるSDGs評価1位は3年連続でトヨタ
2022年9月13日 10時00分更新
この調査は、SDGsに関する設問と、企業評価に関する設問から構成。調査対象は業界別に売り上げ規模の大きな企業と、SDGsやESGに積極的に取り組んでいる企業を中心に、ブランド総合研究所が独自に260社を選出した(2021年は210社)。SDGsに関する設問は、SDGsの認知、企業のSDGs取組評価、17ゴール別の評価、情報入手経路、ESGイメージの5項目、企業評価に関する設問は企業認知、好感度、利用経験、就職意欲、投資意欲の5項目となっている。
◆2位はイオン、3位はユニクロ
SDGsの取り組みが最も評価されている企業はトヨタ自動車が27.7点で3年連続1位となった。SDGsに「本格的に取り組んでいる」が18.3%と多く、他社より5ポイント以上も多い。逆に「全く取り組んでいない」「あまり取り組んでいない」との否定的な回答が6.0%と少ない。
2位にはイオンが22.1点で、前年の5位から上昇した。前年2位だったユニクロは21.7点で3位となったが、点数は前年の21.3点よりわずかに上昇している。(数字が同じでも小数点2位以下が異なる場合は順位が異なる)
前年も調査対象だった210社のうち、約75%にあたる157社は前年よりSDGs評価の点数が上昇している。その中で、前年からの伸びが最も大きかったのは11位のヤクルト。同社を「本格的に取り組んでいる」と評価した人は10.9%で前年の7.4%より増えるなどにより、点数は14.7点から19.3点へと大幅に増加した。
ランキング上位の中ではパナソニック、日本マクドナルド、アサヒビール、富士フイルム、本田技研工業、キユーピーなども大きく点数を伸ばしている。
◆ゴールでは「働きがい・経済成長」「産業と技術革新」の評価が高い
調査対象の企業に対して、17のゴールの中から各社が取り組んでいると思うものを選んでもらった。
その結果を、260社の平均が高いゴールから順に並べたのが上のグラフ。同時に、260社の中で最も高かった企業の結果も比較できるようにした(グラフではゴールの内容を略して表記している)。
最も平均値が大きかったのは「8.働きがいも、経済成長も」と「9.産業と技術革新の基盤を作ろう」の6.2%。ちなみに、この2項目とも最も高かったのはトヨタ自動車で、それぞれ12.1%、16.0%だった。
「6.安全な水とトイレを世界中に」は、260社の平均が3.5%だったのに対し、最大値となったのはTOTOの20.6%だった。同様に「7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」はコスモ石油の18.7%だった。いずれも関連する業界の取り組みがよく知られているケースといえるだろう。なお、前年より平均点が伸びている項目が多い。
◆SDGs評価に影響が大きい「陸の豊かさ」「作る・使う責任」「平和と公正」
次に、どのゴールに関する活動が各社のSDGs取り組みの評価につながりやすいかを分析した。
「重回帰分析」という手法において、目的変数をSDGs評価、説明変数を17のうち「パートナーシップで目標を達成しよう」を除く16のゴールに設定して、260社の結果を使って分析した。その結果から、重回帰係数の大きい項目から順に並べたのが上のグラフ。すなわち、数字(係数)が大きいほど、SDGs評価に与える影響度が大きいことになる。(影響の大きい項目のみ掲載)
最も影響が大きいのは「15.陸の豊かさを守ろう」で、次いで「12.作る責任、使う責任」、「16.平和と公正をすべての人に」、「8.働きがいも、経済成長も」の順となった。
例えばある企業に対して消費者の10%が「陸の豊かさを守ろう」を評価した場合、理論上はSDGs評価が3.5ポイント上昇することになる。したがって、係数の大きい項目で大きく評価を延ばすことが、企業のSDGs評価を高めるには効果的であるということになる。
◆ESGでは「商品やサービスの信頼」がトップ
当調査では、各社のESG活動への評価についての質問も設けた。その結果、260社平均では「商品やサービスが信頼できる」の評価が最も高く、9.8%だった。次いで「環境に配慮している」で7.8%。そして「社会貢献活動をしている」で7.1%となった。
前年の調査と比較可能な210社の結果で比較すると、これらの項目の中で前年より平均が高くなったのは「若い世代を活かしている」(前年は4.5%)だけで、他の項目はすべて前年より低下している。
SDGsゴールで伸びている項目が多い一方で、ESG項目は低下しているものが多いといった相反する結果になった。