「2021年、上半期販売苦戦したものランキング」 ー インテージ

2021年7月15日 10時53分更新


 インテージは、全国約6000店舗より収集している小売店販売データ、SRI+(全国小売店パネル調査)をもとに今年、日用消費財の中で何がより苦戦したかを、推定販売金額の減少から振り返る「2021年、上半期販売苦戦したものランキング」を発表した。(データは5月分まで)

■1位・うがい薬はほぼ半減、4位・ぬれティシュも3分の2も、コロナ前より大幅増

 コロナ2年目、販売苦戦したランキングの上半期1位はうがい薬。55%と前年のほぼ半分になった。感染症対策を期待されて売り上げを伸ばしていたが、今年はその勢いに陰りも。それでもコロナ前の2019年同時期に比べると131%と販売金額は増えている。同じような動きが4位・ぬれティッシュ。前年比66%と大幅ダウンしたが、2019年に比べると140%の売り上げとなっている。一時期ぬれティッシュの代用にも使われた6位・清浄綿(67%)、9位・せっけん(72%)も含め、昨年の伸びが大きく、今年だけの数字では判断できないという衛生系商品がトップ10に多く入った。
 ちなみに2020年上期の販売苦戦したランキングは、1位が主に酔い止めなどが入る鎮暈剤(54%)、2位が日焼け・日焼け止め(57%)と、外出自粛の影響を受けた商品が上位に来ていた。

■2位・口紅、3位・ほほべに、マスクで隠れる部分用の化粧品がランクイン
 2位・口紅は60%、3位・ほほべにも62%と4割近い落ち込みとなった。この2つは昨年も苦しんだカテゴリーで、口紅は2019年上半期に比べて36%、ほほべにも48%とコロナ前の半分以下になっている。昨年に比べて外出自体は増える傾向もある一方、外に出ればほとんどの人がマスクを着用していることもあり、マスクで隠れる部分用の化粧品不振は続いている。雑貨でも15位・リップクリームは色付きのものの減少が大きく、マスク着用の影響が見て取れる。
 同じ化粧品でも需要が回復してきているものもあり、目の周りの化粧で使う眉目料は前年比110%と躍進し、2年前と比較してもほぼ同水準にまで戻ってきている。今後、ワクチン接種の増加などで屋外でのマスク着用が緩和されるようになれば、化粧品全体の売り上げも回復するかも知れない。

■5位・総合感冒薬、7位・鎮咳去痰剤は感染症対策の効果もあり減少、巣ごもり系も
 化粧品とともに、昨年売り上げで苦しんだものが出た医薬品。今年も5位・総合感冒薬(67%)、7位・鎮咳去痰剤(72%)が上位に入ってきた。マスクや手洗いうがいなどをしっかりしたことで、風邪をひく人が例年より大幅に少ないことなどが言われ、2年連続の減少となった。8位・口腔用薬は、のどに直接消毒液を吹き付けるタイプのものなどが主で、昨年上半期は106%とプラスだったが、今年は72%と大幅なマイナスとなった。
 ほかに減少が目立ったのが巣ごもりで昨年増加した商品。10位・小麦粉(74%)、13位・プレミックス(77%)は、おうち時間のベーキングブームなどで売れていた。14位・畜肉缶詰(77%)は、内食・備蓄需要の高まるなか、コンビーフ缶が注目を集め人気となっていた。いずれも今年の減少幅は大きいですが、それでも2019年の数字は上回っている。同じく11位・芳香・消臭剤(75%)、12位・住居用クリーナー(77%)も2割以上のダウンだったが、コロナ前よりは大きく上回っている。

■昨年を象徴したマスクは2割減、それでも2年前の2倍以上
 最後に、コロナ時代を象徴したものを見ていくと、2020年上半期に売れたものを抜粋したものが以下の図表で、マスク(285%)、殺菌消毒剤(232%)、体温計(227%)と感染症対策関連の商品が並んでいる。
 ではコロナ2年目の今年は、どうなったのか?マスクは81%と約2割減、殺菌消毒剤は89%、体温計も87%と1割以上の減少となっている。最初に挙げていた、うがい薬、ぬれティシュも合わせて、昨年大きく伸長した衛生系商品は軒並み、前年比マイナスとなっている。それでもコロナ前の2019年に比べれば販売金額は大きく伸びていて、Withコロナにおいては手放せないものになっていることが見て取れた。

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