日本で働いて良かったこと1位は「雇用の安定」外国人社員アンケート
2023年3月24日 10時45分更新
調査名 :『第2回 日本で働く外国人社員の就労環境と転職に関するアンケート』
対象者 :当社が運営する外国人留学生就職情報サイト『リュウカツ(R)』登録者のうち、日本で働いている(または働いたことがある)外国人社員
調査方法:インターネット調査(日本語と英語で調査)
調査時期:2023年2月 有効回答数:124名
●調査結果のポイント
● 日本で働いて良かったこと1位「雇用が安定している」
日本で働いて良かったこと(Q1)は、「雇用が安定している」(54.0%)が前回調査した2021年同様、1位となり、2位の「やりたい仕事ができて、やりがいを感じる」(25.8%)と倍以上の差がついた。世界的に先行き不透明な経済情勢が続く中、日本企業に浸透している「長期雇用」は外国人社員にとって魅力となっているようで、2021年からさらに傾向が強まっていることがわかった。
● 日本企業で働いて不満に思ったこと1位「給与水準が高くない」
日本で働いて不満に思ったこと(Q2)は、「給与水準が高くない」(51.6%)が2021年から19.8pt増え、1位となった。5位「技術力が高くない」(19.4%)も10.1pt増え、日本企業は“給与水準が高い”“技術力が高い”と思う外国人社員の割合が減っていることがわかった。
また、2位「日本語ネイティブでないことへの配慮が不足」(30.6%)、3位「人事評価の基準が明確でなく、外国人だと昇給・昇進できない」(29.0%)、4位「残業が多い」(27.4%)が約3割となり、外国人社員の活躍・定着には、日本人社員側の意識改革や人事評価制度・働き方の見直しが必要と言える。
一方、「求められている役割や仕事内容が明確でない」(14.5%)は14.2pt減、「やりたい仕事に関われない」(14.5%)は7.2pt減となり、現在の仕事内容への不満は大幅な改善傾向が見られた。これは受入れの際に、仕事内容を丁寧にわかりやすく説明したり、本人(外国人社員)の要望を聞いて納得を得るなど、以前に比べて、日々のコミュニケーションや面談で留意する企業が増えていることが推測される。
● 転職を考えている理由1位「給与を上げるため」、2位「より成長できる環境を求めて」
転職を考えている外国人社員に理由を聞いたところ(Q10)、7割近く(67.9%)が「給与を上げるため」と回答し、2021年から15.1ptも増えた。「より成長できる環境を求めて」も6割超(64.1%)で2位となった。優秀な外国人材が売り手市場になり、日本人だけでなく外国人も“会社を選べる”状況になっていることがうかがえる。外国人社員は自身の職務内容やそれに対する給与、そしてキャリアパスなどを日本人社員よりも明確に求める傾向があるため、外国人社員の定着を図るためには、企業側が具体的に示して納得感を得ることが重要だ。
【回答者の属性】 日本で働いている(または働いたことがある)外国人社員
日本での就労環境について
Q1.日本で働いてみて、良かったことは? [複数選択]
「雇用が安定している」(54.0%)が2021年から4.4pt増え、2位の「やりたい仕事ができて、やりがいを感じる」(25.8%)と倍以上の差をつけて1位になりました。世界的に先行き不透明な経済情勢が続く中、日本企業に浸透している「長期雇用」は外国人社員にとって魅力となっているようで、2021年からさらに傾向が強まっていることがわかった。
また、3位の「日本語力にかかわらず、専門性があれば仕事を任せてくれる」(21.0%)も4.7pt増え、2021年の7位からランクアップした。
Q2.日本で働いてみて、不満に思ったこと・がっかりしたことは? [複数選択]
1位「給与水準が高くない」が2021年から19.8ptも増え、5割超(51.6%)となった。国によっては、留学経験者に対して日本以上の高い水準の給与を支払うケースもあるため、そういった国や地域の出身者から見ると、日本の給与水準が思ったほど高くないという印象になったと推測される。5位「技術力が高くない」(19.4%)も2021年から10.1pt増え、日本企業は“給与水準が高い”“技術力が高い”と思う外国人社員の割合が減っていることがわかった。また、2位「日本語ネイティブでないことへの配慮が不足」(30.6%)、3位「人事評価の基準が明確でなく、外国人だと昇給・昇進できない」(29.0%)、4位「残業が多い」(27.4%)が約3割となり、外国人社員の活躍・定着には、日本人社員側の意識改革や人事評価制度・働き方の見直しが求められる結果となった。
一方、「求められている役割や仕事内容が明確でない」(14.5%)は14.2pt減、「やりたい仕事に関われない」(14.5%)は7.2pt減となり、現在の仕事内容への不満は大幅な改善傾向が見られた。これは受入れの際に、仕事内容を丁寧にわかりやすく説明したり、本人(外国人社員)の要望を聞いて納得を得るなど、以前に比べて、日々のコミュニケーションや面談で留意する企業が増えていることが推測される。
Q3.外国人として日本企業で働いて、苦労した点・困った点は? [複数選択]
半数以上(53.2%)が「日本特有の文化・マナー・商習慣に慣れることが大変だった」と回答。次いで、「日本語での専門用語や業界用語など日本語の習得が大変だった」(41.9%)、「上司や同僚との社内コミュニケーションが大変だった」(38.7%)という結果になった。外国人社員が自身の能力を最大限発揮して活躍できるよう、企業側はビジネスマナー研修や日本語研修を実施し、円滑なコミュニケーションを図ることが大切だ。
Q4.外国人として日本企業で働いて、疑問に思うこと・改善してほしいことは? [自由回答・抜粋]
・日本のビジネスマナーに関する研修や教育をしてほしいです。
・ビジネスマナーをそこまで厳しく守らなくても良いようにしてほしい。メール、電話、客対応、手紙の送り方等、全てにおいてルールがあるので大変です。
・日本特有のビジネスマナーと残業文化を改善してほしい。
・残業の削減と時間の融通、休日の取得のしやすさ
・私は外国人なので、残業時間を削ってでも家族に会うために休暇が必要です。
・残業を美徳と思うことをやめてほしい。
・会議とルールが多すぎる。
・会社の暗黙のルール(電話取り、セッテング、来客接待など)をはっきり明記してほしい。
・外国人という偏見を持たずに一人一人の人材で見てほしい。
・外国人に対しての評価を改善してほしい。日本人と比べて言葉の壁もあり、同じ基準で評価されるとなかなか昇給ができない。
・評価制度の客観性、明確化
・人事考課の方法が不明確で、昇進・昇給の約束が果たされていない。
・昇進を「年功序列」から「実力主義」にシフトしてほしい。
・昇給額とボーナスが少ないので、もっと上げてほしい。
・女性のキャリアアップが難しい。
・年功序列やジョブローテーション、給与が低い
・半年に1回の人事異動があるが、その高頻度の転勤は本当に意味があるのか疑問。
・曖昧な言い方は誤解を招きやすいので、仕事のやり方について齟齬が生じる場合は丁寧に教えてほしい。
・文化の違いについて、もう少し理解してほしいです。例えば、アメリカや中国などは会話中に舌打ちをするのが普通ですが、日本では舌打ちをすると相手に不快感を与えてしまいます。そういうつもりではないのに、イライラさせてしまったり、怒られたこともよくあります。
・チャレンジできる環境を作ってほしい。
・これまで勤めていた日本企業は、あまり新しいことに挑戦する意欲がなく、マニュアル通りに進める人が多くて効率が悪かった。
・物事の進め方が硬すぎる。柔軟性に欠け、上下関係を重視しすぎる。
・保証人制度、連帯保証人がいないと採用されないこと
Q5.メンター制度がある場合、どのような人がメンターになってくれると良いですか? [自由回答・抜粋]
・外国人とコミュニケーションを取るのに抵抗がない人
・オープンマインドな人
・自分と相手のことをちゃんと把握して相談に乗れる人
・日本語をゆっくり話してくれる方
・英語が上手な人
・初心者の難しさを理解してくれる人
・相手の立場に立って考える人
・明るい人
・話し合える人、曖昧な態度をしない人
・外国人が日本企業で働く難しさを理解してくれる人
・海外経験のある人や外国語を学んだ日本人だと理解し合える
・海外思考がある日本人、挑戦意欲が強い人
・海外滞在経験を持つ人
・日本人で異文化を理解する人
・日本人で海外経験のある人、年齢が近い人
・日本人で海外生活・留学経験がある人
・長期留学経験のある日本人
・他の国の文化の違いを理解している人
・日本人と外国人を差別しない人
・同じ国籍で年齢が近い人
・同性で年齢が近い、共通の趣味がある人
・同性で年齢が近い外国人の方
・年齢が近い日本の方
・標準語を勉強したので、方言ではなく標準語で喋ってほしい。
・本当に思うことを隠さず素直に話してくれる人
・仕事の一連の流れが教えられる人
Q6.勤務している(していた)企業にあったら、継続して働けると思う制度は? [複数選択]
半数以上(54.8%)が「帰国のための連続休暇制度や母国でのテレワーク勤務」と回答。次いで、「客観的な業績評価制度(実力主義)」(41.9%)、「資格取得支援制度」(39.5%)という結果になった。Q4で、日本企業で働いて疑問に思うこと・改善してほしいこと(自由回答)を聞いたところ、「昇進を年功序列から実力主義にシフトしてほしい」や、「外国人に対しての評価を改善してほしい。日本人と比べて言葉の壁もあり、同じ基準で評価されるとなかなか昇給ができない」といった意見もあり、客観的な評価制度を求める外国人社員が多いことがわかった。
今後のキャリアプラン・転職について
Q7.日本の企業で働いている、または働いていた年数(合計)
5割近く(46.0%)が 「1年以上3年未満」と最も多く、次いで、「3年以上5年未満」(25.0%)と「5年以上10年未満」(21.8%)も2割以上だったた。
Q8.日本での勤務先企業の転職経験・回数について
転職をしたことがない外国人社員は2021年から8.1pt減り、52.4%となった。
一方、転職をしたことがある外国人社員は5割近く(1回33.1%+2回8.9%+3回5.6%=47.6%)まで増え、転職経験者と未経験者の割合の差が縮まった。
Q9.現在、転職を考えていますか?
転職を考えている外国人社員は2021年から7.1pt増え、62.9%となった。Q8で転職経験者の割合が増えていることがわかったが、現在転職を考えている外国人社員の割合も増加傾向にあるようだ。
Q10.転職を考えている理由は? [複数選択]
(Q9で「転職を考えている」と回答した方のみ)
転職を考えている外国人社員に理由を聞いたところ、7割近く(67.9%)が「給与を上げるため」と回答し、2021年から15.1ptも増えたことがわかった。また、「より成長できる環境を求めて」も6割超(64.1%)で2位となった。優秀な外国人材が売り手市場になり、日本人だけでなく外国人も“会社を選べる”状況になってきたことがうかがえる。
外国人社員は自身の職務内容やそれに対する給与、そしてキャリアパスなどを日本人社員よりも明確に求める傾向があるため、外国人社員の定着を図るためには、企業側が具体的に示して納得感を得ることが重要だ。
Q11.日本企業でスキルアップや昇進が難しいと感じる理由は? [最もあてはまるものを一つ選択]
(Q9で「転職を考えている」と回答した方のみ)
転職を考えている外国人社員の3割近く(27.4%)が「外国人というだけで昇進が遅い。一定以上昇進できない」と感じていることがわかった。「年功序列制度で、実力があっても経験年数を積まないと次のステップに進めない」も2割以上(21.8%)となった。
Q12.転職の際に、企業選びで重視する点は? [複数選択]
(Q9で「転職を考えている」と回答した方のみ)
転職を考えている外国人社員に転職の企業選びで重視する点を聞いたところ、7割以上(71.8%)が「給与水準が高い」と回答した。2021年から24.6ptも大幅に増え、傾向が強まっている。また、「職場環境や社風に合う」(46.2%)と「グローバルに仕事ができる」(46.2%)も5割近くが回答した。
外国人社員は転職先の企業選びで、職場環境や社風、仕事内容よりも「給与水準」を重視する傾向が明確に表れる結果となった。
Q13.今後、日本でどのくらい働きたいですか?
「できるだけ長く」が2021年から7.3pt増え、半数近く(48.4%)となりました。明確な期間を選択する割合はどれも減少していたことから、特に期間を決めず、日本での雇用条件や状況に応じて、できるだけ長く働きたいと考えていることが推測できる。外国人社員は日本で勤務した後、勤務先企業の母国にある拠点や、帰国して日本企業の現地法人に入社するなど、日本で勤務した経験を母国で活かしたいと考える人もいるため、自分にとって最適な時期まで日本にいると考えているのかもしれない。
また、今回から選択肢に追加した「日本という場所に特にこだわりはない」(8.1%)も一定数いることがわかった。