転職サービス「doda」などを提供するパーソルキャリア株式会社は、男性育休に関する意識調査第2弾の結果をまとめた。
第1弾では、男性の育休取得の意識と実態を明らかにした。第2弾※1では、男性に加え、周囲(女性、管理職、同僚)にも焦点を当て、男性育休に対する意識のギャップやそれぞれの考え方を明らかにする。なおこの意識調査は、パーソルキャリアが男性社員の育休取得をさらに推し進めていくにあたり※2、人々の男性育休への考えを理解するために実施した。
※1:第1弾調査 https://www.persol-career.co.jp/pressroom/news/research/2021/20211119_02/
※2:https://www.persol-career.co.jp/pressroom/news/corporate/2021/20211119_01/
(1)女性※3と男性※4の意識と実態
将来、男性育休の取得希望は女性が68.9%、男性が80.0%で男女で10ポイント以上の差
68.9%の女性が、将来配偶者(夫)に育休を「取得してほしい」と回答(「必ず取得してほしい」と「できれば取得してほしい」の合計)したのに対して、80.0%の男性が将来育休を「取得したい」(「必ず取得したい」と「できれば取得したい」の合計)と回答。男女間で、10ポイント以上の差があることがわかった。(【グラフ1】)
男女ともに、男性育休で最も不安なことは「収入が減るかもしれない」
将来の男性育休の取得について心配なことを聞いたところ、男女ともに最も多かったのは「収入が減るかもしれない」で、ともに4割を超えている。(【表1女性】【表2男性】)
男性育休の推進にあたっては、経済的サポート以上に、国の法改正や企業の制度の見直しなど、環境整備に重きが置かれている傾向にある。今回の調査から、男性育休の取得にあたって、1番のネックは「収入」であるため、収入面のサポートの必要性が明らかになった。
【表(1)】女性:将来配偶者に育児休暇を取得してもらう上で心配なことは何ですか?(いくつでも)
順位 | 育児休暇を取得してもらう上で心配なこと | % |
---|---|---|
1位 | 配偶者(夫)の収入が減るかもしれない | 48.8 |
2位 | 配偶者(夫)の上司/部下/同僚など、勤務先に迷惑を掛けるかもしれない | 35.6 |
3位 | 配偶者(夫)の昇給が難しくなる/遅れるかもしれない | 34.1 |
4位 | 配偶者(夫)の昇進が難しくなる/遅れるかもしれない | 29.4 |
5位 | 思ったより育児をしてもらえないかもしれない | 28.8 |
6位 | 思ったより家事をしてもらえないかもしれない | 27.4 |
7位 | 配偶者(夫)の勤務先での評判が悪くなるかもしれない | 26.2 |
8位 | あなた自身のストレスが溜まりそう | 24.2 |
9位 | 配偶者(夫)の仕事へのブランクができてしまう | 21.9 |
10位 | 配偶者(夫)の休暇取得前の業務引き継ぎが大変そう | 20.6 |
【表(2)】男性:将来、育児休暇を取得する上で心配なことは何ですか。(いくつでも)
順位 | 育児休暇を取得してもらう上で心配なこと | % |
---|---|---|
1位 | 収入が減るかもしれない | 40.9 |
2位 | 上司/部下/同僚など、勤務先に迷惑を掛けるかもしれない | 38 |
3位 | 勤務先での評判が悪くなるかもしれない | 27.2 |
4位 | 昇進が難しくなる/遅れるかもしれない | 27.0 |
5位 | 昇給が難しくなる/遅れるかもしれない | 25 |
6位 | 休暇取得前の業務引き継ぎが大変そう | 22.9 |
7位 | 仕事へのブランクができてしまう | 21.6 |
8位 | 思ったより育児をできないかもしれない | 21.4 |
9位 | 配偶者(妻)にストレスを与えてしまいそう | 20.8 |
10位 | 思ったより家事をできないかもしれない | 17.9 |
(2)管理職・同僚と男性のギャップ
管理職・同僚は男性の育休取得に「賛成※5」している一方で、男性育休の取得率は低い傾向に
取得期間に関わらず、管理職、同僚ともに男性の育休取得に対して半数以上が賛成しているが、(【グラフ2】)、子どものいる20代~50代の男性(学生を除く)で育休を取得したことがある人は15.4%(【グラフ3】)に留まる。周囲の「賛成」の声に対して、実際に取得している男性が少ない実態が明らかになった。
(3)管理職と同僚のギャップ
管理職・同僚ともに、取得期間が長くなるにつれ「賛成※5」が減っていく
管理職・同僚ともに、取得期間が長くなるにつれ、賛成の割合が減っていき(【グラフ2】)、両者を比較してみると、管理職のほうがその傾向が強いことがわかる。3日以内の取得においては、管理職、同僚ともに85%以上が「賛成」の一方で、4カ月以上の取得になると、管理職は約半数が「反対」と回答。同僚は、約40%が「反対」と回答している。管理職は実際に、業務の分担や管理をする立場にいるからこそ、同僚以上に男性社員の育休取得を負担に感じていると考えられる。
調査期間:2021年10月9日~11日
調査対象:20~59歳 学生以外の男女 1,675名
調査方法:インターネットによるアンケート回答方式 *2020年労働力調査結果に基づき、ウェイトバック集計を実施