「世界幸福度ランキング」2020年度版発表、第1位はフィンランド
2020年4月27日 15時50分更新
毎年3月20日の国際幸福デーに、国連の「持続可能開発ソリューションネットワーク」が、「世界幸福度ランキング」を発表している。このランキングは世界各国で実施される世論調査をもとに、各国国民の幸福度に関する主観的な意識を分析したもの。
2020年版の世界幸福度ランキングでは、全世界の156ヵ国を対象に調査が行われ、例年通り上位を北欧諸国が独占。最下層にはアフガニスタンやスーダンなどの紛争地域が並んでいる。日本は前年よりもさらに順位を下げた。まずは主な上位国と下位国を紹介。
・世界幸福度ランキング上位国
1位 フィンランド
2位 デンマーク
3位 スイス
4位 アイスランド
5位 ノルウェー
6位 オランダ
7位 スエーデン
8位 ニュージーランド
9位 オーストリア
10位 ルクセンブルグ
・世界幸福度ランキング下位国
1位 アフガニスタン
2位 南スーダン
3位 ジンバブエ
4位 ルワンダ
5位 南アフリカ
そんな中で日本のランキングを確認すると、今回は156ヵ国中で62位と、真ん中よりもやや上という精彩を欠いた結果。この数字からすると、多くの日本人が幸福感を感じているとは言えそうにない。
■ランキング上位国と下位国の特徴
世界幸福度ランキングは、それぞれの国での世論調査をもとに、以下の6つの要素を加味して算出される。
・人口あたりのGDP
・社会支援の充実度
・健康寿命
・人生における選択の自由度
・社会における寛容度
・腐敗に関する認識度
例年上位を占める国々は、経済大国でもなければ科学技術先進国でもない。特徴としては社会保障や福祉が充実していることが、ひとつの要因と言われている。一方でランキング下位には、内戦や紛争で国そのものが疲弊していたり、長期的な貧困に悩まされている国々が名を連ねている。
■年ごとに下がり続ける日本の幸福度
世界幸福度ランキングは、2012年に初めて発表された。この年日本のランキングは44位で、翌2013年に43位に上がってからは、毎年前年よりも下がり続けて現在62位。しかも先進国中では最低レベルだ。
要素ごとの順位に注目してみると、「健康寿命」は第2位で「人口あたりのGDP」も24位と健闘している。その一方で「腐敗に関する認識度」は39位、「選択の自由度」は64位、「寛容度」に至っては92位と、ランキングが低迷する要因になっている。
■日本人が幸せを感じない理由とは
日本人は国の内外から働きすぎだと言われている。長年にわたって改善されないその状況が、幸福度を押し下げる要因になっているのかもしれない。
しかしランキングの6つの要素の中で、労働環境に関する満足度はカウントされていない。それよりも自分が職場の中で、自由に働き方を選択できないことや、表現の自由(報道の自由)に対する評価が低いことなど、社会全体の自由度が低いことが大きな要因だという指摘がある。
さらに「寛容度」に関しては、ボランティア活動への貢献度がランキングの判断材料になるようで、積極的にボランティア活動を行っている国ほど、主観的な満足度が高くなるとも言われている。この主観的という表現が非常に重要で、日本社会では欧米ほどボランティア活動が根付いていない。他者のために奉仕することが幸福感につながるのであれば、ボランティア活動の機会が少ないことが「寛容度」を低下させる要因になっているのかもしれない。
■幸福度ランキング上位国の特徴とは
世界幸福度ランキングで、3年連続第1位に輝いているフィンランドについて、堀内都喜子著の「フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか」という書籍が注目されている。この本で紹介されているフィンランドの暮らしについて、いくつかピックアップしてみると
・1人あたりのGDPは日本の1.25倍
・偏差値や高学歴を重視しない教育(それでも教育レベルは世界トップクラス)
・残業なしで、在宅勤務の割合はおよそ3割(午後4時になると帰宅)
・男性の8割が育休を取得
・法律で決められた1日2回のコーヒー休憩
フィンランドは課税率が高い代わりに、医療や教育まで含めた公共サービスや、福祉のすべてを国が負担することでも知られている。この本でも指摘されていることだが、フィンランドの人々は日々の生活にゆとりを感じており、それが幸福感につながっているのかもしれない。