人との「協働」を目指すロボット導入【2019国際ロボット展】

2020年1月24日 10時00分更新


12月18日から21日の日程で日本ロボット工業会、日刊工業新聞社主催の「2019国際ロボット展」が東京ビッグサイト青海、西、南ホールで開催された。
同展は、2 年に 1 度開催する世界最大規模のロボットトレードショーで、今回で 23 回目を迎える。同展では、産業用ロボットメーカーによる大規模展示を始め、国内外より、IoT、AI、関連技術など、ロボットに関わる製品や技術が一堂に揃った。また、講演会や出展者によるセミナーも行われた。
「人の代替えを目的とするロボット導入とは」についてTHK株式会社 産業機器統括本部 IMT事業部 事業部長・星野 京延氏がセミナーを行った。
星野氏は同社が販売するカワダロボティクス製のロボット「NEXTAGE」について触れながら、労働力不足の現場や課題を解決するための代替機能と導入技術、活用事例、また今後の展望について話した。
最初に星野氏は、労働力不足の現場について話した。現代、少子高齢化にともなう人口減少の影響で労働力不足が深刻な問題となっている。工場においても例外ではなく、解決策として機械による自動化が進められている。しかし、専用機を作るコストや費用対効果の面から省人化が進まないという問題もある。
そこで、人の作業を置き換えるロボットの開発を2003年から開始した。まず取り掛かったのが人の機能についての分析である。人が作業するときに使うのが目と体である。自動機はこの目と体をカメラとロボットアームのように分離している。これでは人の代わりにそのまま生産ラインに導入することは難しい。しかし、人型ロボットであれば目と体が一体となっているため人の代わりにそのまま生産ラインに導入することができる。さらに、自動機は専用機として作られるため、特定の作業しかできないのに対し、人型ロボットであれば使用する道具やプログラミングを変更することで、様々な環境に対応することができる。
星野氏は、重要なのは効果的な現場選定と運用であると語った。「NEXTAGE」を自動機の生産ラインに導入しても、特定の作業専用に作られた自動機の作業スピードには追いつけない。人の作業をそのまま行うというのが「NEXTAGE」の売りであり、それを理解せずに導入しても真価を発揮することはできない。そこで作業難易度を分析し、作業難易度が低く、人でなくてもできる作業を「NEXTAGE」が代替する、また人と一緒に作業を行う。さらに、夜間から早朝など人が工場を運用できない時間に、人の代わりに「NEXTAGE」が作業を行うなどの運用方法を示した。
次に活用事例について述べた。「NEXTAGE」は人の作業環境に適応することができる。そのため、材料を掴み加工機械にセットし、ボタンやレバーを押して加工することができる。また、機械のワークの取替や、柔軟な材料の取り扱いを行うこともできる。さらに、移動台車に「NEXTAGE」を搭載することで工場内を移動して作業を行うこともできる。
最後に星野氏は「NEXTAGE」が目指す「人とロボットの併用」について語った。人の作業をロボットに代替すること、例えばこれまで昼間は人が10人、夜間は作業をしなかった現場を、「NEXTAGE」を導入することで昼間は人が6人、ロボットが4台、夜間はロボットが作業を行うというように、「人とロボットが一緒に働くという現場づくりを目指す」とした。また、人と働く自動機と「NEXTAGE」が作業を行う、ロボットとロボットの作業についても語った。
さらに星野氏は「工場の中から次のステージへ」として、「人手不足の深刻な飲食店や介護、レジ打ち、配送業などへの導入も視野に入れて開発を進める」とした。

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