日本の小説第1位は『ノーサイド・ゲーム』、エッセイ第1位は『思わず考えちゃう』―楽天ブックス調べ

2019年10月24日 16時17分更新


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 楽天株式会社が運営するオンライン書店「楽天ブックス」は、10月27日から11月9日の読書週間に向けて、「日本の小説ランキング」および「エッセイランキング」を発表した。

 「日本の小説ランキング」の上位には、ワールドカップが日本で開催されているラグビーをテーマにした『ノーサイド・ゲーム』や、2019年に本屋大賞を受賞した『そして、バトンは渡された』、第160回直木賞受賞の『宝島』など文学賞受賞作品が並んだ。男女別のランキングを見ると、男性は文学賞受賞作品に加えて、アイドルの著書も人気。女性はミステリー小説が上位にランクインする傾向があるほか、コミックのノベライズである2作品が、トップ10入りしている。

 「エッセイランキング」では、トップ10のうち7作品が女性作家によるもので、芦田愛菜、三浦瑠麗、岸惠子などの著名人が名を連ねている。また、購入者の男女比を見ると、6対4で女性が男性を上回り、特に同性の著者の作品を好む傾向がわかった。年代別でもそれぞれ傾向がみられ、20代はSNSで活動するインフルエンサーの影響が強く、30代以上は悩みを解決するヒントになるような作品が多くランクインした。

■文学賞受賞作品を押さえ、1位を獲得したのはドラマ化で人気の『ノーサイド・ゲーム』。

 「日本の小説ランキング」の1位はビジネスマンからの人気が高く、ドラマ化もされた池井戸潤著『ノーサイド・ゲーム』。『半沢直樹』『陸王』『下町ロケット』など過去の作品もドラマ化され注目を集めた著者の最新刊で、社会人ラグビーチームの再建を描いた物語。発売から1カ月でドラマが放送されたことを追い風に、堂々の1位となった。

 また、トップ10には文学賞受賞の3作品がランクイン。2位の『そして、バトンは渡された』は2019年の本屋大賞で大賞を受賞した。血縁のない大人たちと生活する17歳の少女と家族の絆を描いた作品。第160回直木賞を受賞した3位の『宝島』は、戦後の米軍統治下の沖縄を舞台に、3人の少年少女が故郷奪還のために立ち上がる、青春と革命の一大叙事詩。6位の『むらさきのスカートの女』は第161回芥川賞受賞作品で、「楽天ブックス」のレビューでも、独特なストーリー展開に魅了されたという声が多い作品だった。

■男性は池井戸潤、女性はミステリー作品が人気。

 「日本の小説ランキング」を男女別に見ると、男性ランキングの上位2作品は池井戸潤、百田尚樹の最新作で、男性から人気を集める著者の作品がトップとなった。6位の高山一実著『トラペジウム』は、著者が女性アイドルグループ「乃木坂46」のメンバーで、男性ファンからの根強い人気が見られる。

 一方、女性ランキングの上位は東野圭吾著『希望の糸』、道尾秀介著『いけない』が2位、3位となり、ミステリー小説に人気が集まった。また、ジャンプコミックスのノベライズが2作品ランクインしている。5位に『鬼滅の刃 しあわせの花』、8位に『約束のネバーランド ~ノーマンからの手紙~』が名を連ね、少年漫画のファン層が女性にも広がっていることがうかがえる。

■20代の1位は『トラペジウム』、30代以上は人気5作品が上位を占める。

 年代別に見ると(注4)、30代以上では『ノーサイド・ゲーム』『そして、バトンは渡された』『宝島』『夏の騎士』『希望の糸』が上位に並ぶ中、20代の1位は『トラペジウム』がランクイン。現役アイドルの描く青春小説を、ファンや同世代の読者が1位に押し上げた。2位『むらさきのスカートの女』と9位『1R1分34秒』は、ともに新人作家の登竜門として有名な芥川賞受賞作品。同世代の主人公に対して自分たちの姿を重ね、等身大の物語に共感していることがうかがえる。

 20~40代はコミックのノベライズ本がトップ10に入り、少年ジャンプと共に成長した世代が購入していると考えられる。50代以降になると朝倉かすみ著『平場の月』や内館牧子著『すぐ死ぬんだから』がトップ10入り。『平場の月』は50歳の男性を主人公とした恋愛を、『すぐ死ぬんだから』は終活をテーマにした70代の主人公の老後を描いており、どちらも読者世代と近い年齢設定で、ストーリーに対する関心の高さがうかがえた。

■エッセイのトップ10のうち7冊が女性著者。メディア露出の多い著名人の作品が並ぶ中、1位となったのは人気絵本作家のヨシタケシンスケ。

 「エッセイランキング」では、メディア露出の多い著名人のエッセイが並んだ。トップ10のうち、7作品が女性著者であり、購入者比率も約6割が女性だった。

 1位の人気絵本作家のヨシタケシンスケ著『思わず考えちゃう』は、著者初のエッセイ本でスケッチを交えた大人も子どもも楽しめる1冊。2位の芦田愛菜著『まなの本棚』は、女優であり年間100冊以上読む読書愛好家でもある著者が、本当は教えたくない約100作品を紹介。「楽天ブックス」のレビューでは、「子供に読ませる本の参考にする」という声も多く寄せられており、子を持つ親世代からも関心を集める作品。3位はお笑い芸人のブラックマヨネーズ 吉田敬著『黒いマヨネーズ』がランクイン。カルチャー雑誌「パピルス」や月刊文芸誌「小説幻冬」にて、約4年間にわたり連載されたエッセイを収録した内容で「面白かった」「本を読んでからテレビを見るとさらに面白さが増す」といった声もレビューに寄せられている。

■男女別のランキングでは同性の著者の作品に人気が集まる。

 「エッセイランキング」を男女別にトップ10で見ると、同性の著者の作品が多くランクイン。男性のランキングでは7作品が男性著者の作品で、総合ランキングでのトップ3に入った『黒いマヨネーズ』を筆頭に、お笑い芸人の著書が3作品ランクインした。5位のオードリー 若林正恭著『ナナメの夕暮れ』は、雑誌「ダ・ヴィンチ」での連載に書き下ろしエッセイを加えた1冊。8位のハライチ 岩井勇気著『僕の人生には事件が起きない』は、著者初のエッセイ本として発売直後から人気を集めた。

 女性のランキングでは8作品が女性著者の作品で、著者の人生経験やアドバイスがまとめられたエッセイが多くランクインした。2位には気鋭の国際政治学者である三浦瑠麗著『孤独の意味も、女であることの味わいも』がランクイン。少女時代、夫との出会い、最愛のわが子を失う経験といった長年の葛藤をつづったエッセイで同性読者の共感を得た。4位の『私がオバさんになったよ』はジェーン・スーをはじめ光浦靖子、山内マリコなど8人が著者のオムニバス作品で、人生を折り返した「いま」を語り尽くした1冊。

 なお、『まなの本棚』『孤独の意味も、女であることの味わいも』は、女性著者の作品でありながらも男性からの注目も集めした。

■20代はお笑い芸人やインフルエンサーに注目。30代以上は各世代の悩みを解決するヒントを求める傾向に。

 年代別の「エッセイランキング」では、各世代の関心の違いが見られた。20代の特徴としては、お笑い芸人のエッセイが上位に複数ランクインし、Twitterで人気のインフルエンサーによる書き下ろしや、イラストの書籍化が3作品ランクインした。『待ち人来ずってなんなの 私から会いに行くからお前が待ってろよ』『ものすごい愛のものすごい愛し方、ものすごい愛され方』『もっと、ずっと、ぎゅっと。』は、それぞれ10万人から20万人を超えるフォロワーがいるインフルエンサーの作品で、20代のSNS感度の高さや注目度がうかがえる。

 30代と40代は『私がオバさんになったよ』『わたしを支えるもの』『女はいつも四十雀』など、アラフォー女性が共感できる経験談が詰まった作品がランクイン。30代は『ちょっと理系な育児 母乳育児篇』『おさよさん流 がんばらなくてもキレイが続く 家事のくふう』がランクインし、育児や主婦の悩み解決のヒントを求める傾向が見られた。50代と60代は作家の伊集院静やエッセイストの阿川佐和子、女優の岸惠子などの著書がランクインし、同世代の著名人への関心が見られた。特に60代は『すごいトシヨリBOOK』『還暦着物日記』など、定年退職後の生き方や和装への高い関心がランキングにあらわれている。

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