NTTドコモ、「つながらない、を、つくらない。」ネットワークオペレーションセンターを報道陣向けに公開
2019年9月3日 14時41分更新
NTTドコモは8月30日、東京都品川区にある同社のネットワークオペレーションセンターを公開し、災害に対する取り組みなどについてメディア向けに説明会を開催した。
同社が全国に敷いているネットワークの障害や異常などの監視を行っているネットワークオペレーションセンター。24時間365日オペレーターがモニターを通して全国の回線を見張っている。
NTTドコモのネットワークオペレーションセンターは、東日本と西日本に1箇所ずつ。東日本にあるのは2003年8月に稼働を開始した「ドコモ品川ビル」。そしてもう1箇所は大阪府南港の西日本オペレーションセンター。具体的には北海道から東海地方を東日本にあるネットワークオペレーションセンターが、関西から九州沖縄までが西日本オペレーションセンターの担当地域となっている。この2箇所のセンターは情報の共有を行っており、万が一どちらかのセンターが災害などで機能不全に陥ったとしても、もう一方のセンターが業務を引き継げるようになっている。
ネットワークオペレーションセンターではおよそ東西合計で400名ほどが業務にあたっている。無線基地局と制御装置を監視する「アクセス業務」、交換機やIPネットワークを監視する「ノード業務」、基地局と交換局などを結ぶ伝送路を監視する「リンク業務」、ネットワーク全体を見て最適に制御する「ネットワークコントロール業務」の4つがある。
オペレーションルーム東側の大型ディスプレイには基地局の状態が随時表示されるようになっていて、赤はサービス中断等の障害の発生、青はトラヒック警報、黄色は混雑解消のための通信規制、緑は措置により障害から回復したことを表している。
西側の大型ディスプレイには交換局の状態が表示される。パケット通信や音声通話、留守番電話サービスの監視を行っている。
NTTドコモの新たな取り組みとしては、通信サービスの障害を防ぐ、AIの導入。基地局には、検知システムに上ってこない「サイレント故障」と呼ばれる“検知できない故障”が1日あたり数百件ほど起きているという。この故障は、大きな障害につながる可能性があるため、早期発見することが同社の課題の1つだった。
そして、早期発見するために導入されたのがAI。正常時・異常時それぞれのトラヒックパターンをAIに学習させ、AIによるサイレント故障の検知を実験的に導入しているという。この実証実験では、約8~9割の精度でサイレント故障した基地局を検知できていて、現在はネットワークの監視業務にAIを試験的に導入している。2018年度末に本格運用させ、2020年度までには商用化も見込んでいる。
ドコモでは、激甚災害への対応として、システムとしての信頼性向上、重要通信の確保、通信サービスの早期復旧という「災害対策3原則」を掲げ、災害対策本部を設置している。
2011年の東日本大震災では、長時間の停電によるバッテリーの枯渇や伝送路の切断、地震や津波などによる直接被害を防ぐことができず、新たな災害対応基準策定のきっかけとなったとNTTドコモ ネットワーク本部 サービス運営部 災害対策室 室長 瀧本恭祥氏は語った。