ソフトバンクグループが発表した、2018年3月期連結決算は、営業利益が前期比27%増の1兆3038億円と、2年連続で1兆円を突破した。純利益が前期と比べて27%減り、1兆390億円で、中国アリババの株式に絡むデリバティブの損失などが影響した。
前年度はアリババ株やスーパーセル株の売却益が含まれていた点を強調。「一時的な利益や損を差し引きして、本来の継続的な姿はどうだったのか、ということでいえば、前年対比226%、実は大きく増益だととらえることもできる。同じ物体を右から見るのと、左からみるのでは違ってみえることがある」と説明した。
10兆円規模の資金を運用する傘下の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」について孫氏は、投資先が30数社になったことを明らかにし、「携帯電話会社のイメージが強いソフトバンクグループだが、投資会社としての側面が強まっている。今後はUBERを中心とした、ライドシェア分野に力を入れていく」と述べた。また「始めて約1年たつが、自信はますます深まっている。非常にビジョンファンド、やってよかった」と語った。
また4月に同業TモバイルUSとの合併合意を発表したスプリントについて、孫氏は「(保有する)株式価値が合併後の相乗効果でさらに増える。恥とかプライドとかを飲み込んで実を取った」と話した。スプリントは2019年半ばまでの合併完了を目指す。合併が実現すればスプリントはソフトバンクの連結対象から外れる見通しだ。
孫氏は会後半の質疑応答中に、後藤芳光最高財務責任者が差し出した紙を見て、
「やばいですね。どうしよう、言っちゃったからね、もう取り消せませんね」。
会見冒頭のプレゼンテーションで語った、保有するインドの電子商取引最大手フリップカート株のウォルマートへの売却合意が未発表だったことに気付き、苦笑いした。
孫氏は、約25億ドル(約2700億円)で取得したフリップカート株を約40億ドルで売却したことも明らかにし、うっかり公言してまったウォルマートへの株式売却は、同社が過去最大の買収案件として数時間後に発表を予定しているものだった。
ウォルマートは、フリップカート株の過半を取得することでインドの電子商取引市場に足掛かりを得ることを目指しているようだ。