格安スマホ全体の下り速度平均は前年比1.68倍の速さに―ICT総研調査
2016年12月9日 16時04分更新
表1.格安スマホ速度調査
表2.格安スマホ速度調査
表3.格安スマホ速度調査
表4.格安スマホ速度調査
株式会社 ICT総研 (東京都千代田区)は12月9日、格安スマホ通信速度実測調査の結果をまとめた。同社では定期的に、さまざまなシーンでスマートフォンの通信速度、つながりやすさの調査を実施しているが、今回の調査は、契約者数を右肩上がりに伸ばして存在感を増している格安スマートフォン、格安SIM事業者の通信速度を比較して、実態把握することを目的とした。
実際にユーザーが利用する機会の多い地点で比較するために、東京、大阪、名古屋の主要な「待ち合わせ場所」 各40地点 合計120地点を測定地点とし、ワイモバイル、楽天モバイル、UQ mobile、mineo、OCNモバイルONEの5社(5ブランド)を調査対象としている。この5社は、同社にて 「格安スマートフォンとして思い浮かべる事業者(ブランド)」(自由記述方式)および「格安スマホ購入検討意向」についてWebアンケートを実施した結果、上位となった5社となっている。
今回の調査では、mineoがauプラン(Aプラン)、楽天モバイルとOCNモバイルONEがNTTドコモ回線、UQ mobileとmineoがau回線のMVNO格安SIMとなる。
端末は、ZenFone 3。通信速度測定アプリ「RBB SPEED TEST」を利用して、1地点あたり下り通信速度、上り通信速度を各3回ずつ測定した。調査期間は11月25日から12月2日まで。また調査時間は、7~9時・12~13時・17~21時といった繁忙時間帯の計測は可能な限り避けている。
下り速度、上り速度ともにワイモバイルがトップ
測定の結果、ワイモバイルが下り通信速度 平均45.80Mbps、上り通信速度 平均21.20Mbpsでトップとなった。東京、大阪、名古屋と地域別に見ても、特に弱い地域は見当たらなかった。下り 80Mbps以上の地点数は多くないが、20Mbps未満の地点は120地点のうち9地点しか見られなかった。中央値という指標で見ても、ワイモバイルが下り 43.27Mbpsでトップとなっており、安定した通信を提供していると考えられる。
下り速度の次点はUQ mobile、上り速度はOCNモバイルONE
下り速度の次点はUQ mobileであり、下り通信速度 平均43.28Mbpsを記録した。下り80Mbps以上の地点数が12地点でトップとなるなど、高速地点の多さが平均値を押し上げた形だ。下り速度3位は楽天モバイルであり、下り通信速度 平均30.92Mbps。OCNモバイルONEは下り通信速度 平均23.92Mbps、mineoは同23.59Mbpsとそれぞれ上位事業者と離されたが、OCNモバイルONEは20Mbps未満の地点が65地点と半数以上を記録した点が苦戦の要因。mineoは下り80Mbps以上の地点数は6地点あったものの、20M未満地点が73地点もあるなど、地点ごとの速度差が著しかった。
一方で、上り速度の次点はOCNモバイルONEで、平均18.10Mbps。3位は楽天モバイル(平均15.64Mbps)となった。
格安スマホ全体の下り速度平均は33.50Mbps。前年の1.68倍の速さに
今回調査対象とした5社の下り速度の平均は、33.50Mbps。同社が1年前に実施した調査(2015年9月 格安スマホ&大手携帯キャリア 通信速度実測調査)では、調査対象事業者数は異なるものの、格安スマホ事業者の下り速度平均は19.89Mbpsであり、約1年で1.68倍の速さに進化している。
また、地域別に見ると、名古屋が下り平均 35.93Mbpsでトップ。東京 33.02Mbps、大阪 31.56Mbpsという結果となった。
ICT総研は、今回の調査において、「格安スマホ事業者利用時のネックとされる通信容量制限による速度規制(1ヶ月および3日間の制限)を避けたが、それでも事業者によっては、通信制御がかかったような速度となるケースも散見された」としている。これを受けて、同社は、「格安スマホ事業者やMVNO事業者間においても、事業者側の設備の状況や混雑状況の違いが、通信制御や実効速度の違いに表れるものと考えられる」と分析している。
今回の調査結果(東名阪の待ち合わせ場所120地点での実測結果)をもって、全国の通信速度の実態を網羅できてはいないが、ユーザーが利用する機会の多い大都市部での実測結果であるため、多くのユーザーの参考になる調査データになるのではないだろうか。
関連リンク:2016年12月 格安スマホ通信速度実測調査(ICT総研)