山手線 全60地点の5G受信地点比率は、4社平均で77.5% ー ICT総研
2023年7月27日 10時51分更新
ICT総研は27日、山手線5Gおよび4G通信速度実測調査の結果をまとめ発表した。2020年より日本の携帯電話各社の5Gサービスが開始されて3年が経過し、各社の5Gエリアは日々拡大している。今回の調査では、国内のMNO (Mobile Network Operator) であるNTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの通信速度の実態を把握することを目的としたとのこと。
測定端末は、Sony Xperia 10 IV。速度測定サイト「インターネット速度テスト」(Google)にて、1地点あたり下り(ダウンロード)と上り(アップロード)の速度を3回ずつ測定。測定地点は、東京都のJR山手線 全30駅のホームと、それぞれの駅間(移動中)の全60地点。優先ネットワーク設定を「5G優先」に設定した場合と「4G優先」(5Gを受信しない状態)に設定した場合とで、それぞれ測定。調査日は、2023年7月15日~7月21日。測定にあたっては、混雑時間帯を避けるとともに、閑散時間帯でも密集状態を避けたとのこと。
山手線 全60地点の下り通信速度は、「5G優先」設定でauが157.7Mbpsでトップ
調査の結果、ネットワークを「5G優先」で設定したケースでは、山手線の「駅ホーム」および「駅間」 全60地点の下り通信速度は、auが平均157.7Mbpsでトップ。ソフトバンク (145.6Mbps)が次点であり、NTTドコモ (66.4Mbps)、楽天モバイル (33.0Mbps)と続いた。下り通信速度の4社平均は100.7Mbpsとなり、前回調査(2021年5月実施)の95.6Mbpsを上回った。
前回調査では、au 137.5Mbps、ソフトバンク 116.4Mbps、NTTドコモ 97.0Mbps、楽天モバイル 31.5Mbpsであり、下り通信速度のキャリアごとの順位は変わっていない。ただし、auとソフトバンクは前回と比較して下り通信速度がさらに高速化した一方で、NTTドコモは通信速度が遅くなる結果となった。
今回調査の全60地点を「駅ホーム」と「駅間」に分けると、「駅ホーム」の4社平均が下り140.2Mbsであるのに対し、「駅間」は61.1Mbps。移動中である「駅間」と比べ、「駅ホーム」の速度が著しく速い結果となった。
また、全60地点の上り通信速度については、auが平均41.3Mbsでトップ。ソフトバンク 31.1Mbps、楽天モバイル 26.5Mbps、NTTドコモ 13.4Mbpsと続いた。下りと比べて、上りが遅い傾向は変わっていないとのこと。
全60地点の5G受信地点比率は、4社平均で77.5%。auとソフトバンクは100%
全60地点の5G受信地点比率は、4社平均で77.5%。前回調査では4社平均で31.3%だったが、この3年間で大きくポイントを伸ばした。
特に、auとソフトバンクは5G受信地点比率がともに100%。調査対象とした60地点全てで5Gの電波を受信できた。NTTドコモは前回調査で15.0%だったが今回調査では51.7%に、楽天モバイルは前回調査で0%だったものが今回調査では58.3%と、4社全てが5G受信地点数を拡大させる結果となった。
ちなみにau(KDDI)と楽天モバイルの新たなローミングが6月から開始しているが、楽天モバイルの測定時に周波数帯(バンド)を確認したところ、全60地点中、auの周波数帯を受信したのは3地点に留まったとのこと。
「4G優先」で測定した場合、4社平均の下り通信速度は31.2Mbps
ネットワーク設定を「4G優先」として、5Gを受信しない状態で測定した結果、下り通信速度はau 38.9Mbps、ソフトバンク 31.5Mbps、楽天モバイル 28.1Mbps、NTTドコモ 26.4Mbpsとなった。4社平均は31.2Mbpsであり、5G優先に設定した場合と比べて通信速度は大きく劣る結果であった。
4G優先に設定した測定では、楽天モバイルの上り通信速度(29.3Mbps)が他社と比較して速かったとのこと。
下り速度の最速地点は駒込駅で、4社平均下り速度は293.2Mbps。最遅地点は渋谷駅
ネットワーク設定を「5G優先」とした場合の下り通信速度の最速地点は駒込駅ホームであり、4社平均下り速度は293.2Mbpsであった。大塚駅ホーム(258.8Mbps)、神田駅ホーム(218.6Mbps)、御徒町駅ホーム(212.6Mbps)の4駅が4社平均で200Mbpsを超えた。
一方で、4社平均の下り速度が最も遅かったのは、渋谷駅ホームであり、下り10.0Mbpsであった。
今回の調査では、前回調査との比較という意味もあり、山手線60地点を調査地点とした。この3年間で5Gを受信できた地点数が大きく増えたことが、全体の下り通信速度の高速化につながった。NTTドコモは5G受信地点数が拡大した一方で下り通信速度がふるわなかったが、同社が「瞬速5G」と称するネットワーク充実化を進行中。トラフィックの多い都市部を中心につながりにくさ、通信速度の遅さを解消する取り組みを進めており、今後の動向が期待されるとのことだ。