公衆無線LANサービス、キャリア系事業者ではNTT東西、キャリア以外ではスターバックスが満足度1位を獲得―ICT総研調査

2017年9月22日 15時18分更新

表1.公衆無線LANサービス利用者数予測
表1.公衆無線LANサービス利用者数予測

表2.公衆無線LANサービスの利用者満足度
表2.公衆無線LANサービスの利用者満足度

表3.公衆無線LANサービスの利用場所
表3.公衆無線LANサービスの利用場所

表4.「公衆無線LANを利用したいところで使える」満足回答者割合
表4.「公衆無線LANを利用したいところで使える」満足回答者割合

 ICT総研は、公衆無線LANサービス(公衆Wi-Fiサービス)市場に関する調査結果をまとめて発表した。同調査は、公衆無線LANサービス事業者、関連企業への取材結果に加え、インターネットユーザー42,983人へのWebアンケート調査の結果などをまとめて分析したものとなっている。
 
 

2017年度の利用者は5,046万人、2020年度には27%増の6,418万人に

 公衆無線LANサービスの2017年度の利用者数は、前年比17%増の5,046万人となると推計される。内訳は、個人利用者 3,374万人、ビジネス利用者 408万人、訪日外国人利用者 1,264万人である。
 MNO(移動体通信事業者)、MVNO(仮想移動体通信事業者)ともに、スマートフォンのパケット大容量プランを充実させたことで、LTE(4G)を利用したモバイルデータ通信量が増大したことなどが影響し、伸び率はやや落ち着いたが、訪日外国人のニーズもあり、利用者数は増加した。
 
表1.2017公衆無線LAN
 
 東京五輪や訪日観光客対策として国がWi-Fiスポットの増設を進めており、民間企業もこれに協力していることなどもあり、今後も利用者数は増加を続けると見られる。ICT総研は、今後の利用者数について、2019年度は6,199万人、2020年度には6,418万人に達する見通しだとしている。
 
 

キャリア系ではNTT東西が満足度1位、キャリア系以外ではスターバックスがトップ

 現在、公衆無線LANサービスは、通信キャリア(事業者)が提供しているものと、そうでないものに大きく大別される。固定系通信キャリアは、宅内のブロードバンド回線利用者が屋外でも利用できるようにするために公衆無線LANサービスの拡大に注力。一方、移動系通信キャリアは、LTE(4G)などの無線ブロードバンドの混雑状況回避のために公衆無線LAN基地局を増設している。また、通信キャリア以外では、喫茶店やコンビニ、交通機関などでも利用者の利便性や満足度の向上を目的として、公衆無線LAN基地局を設置している。
 ICT総研はWebアンケートの形式で、42,983人に対して公衆無線LAN利用の実態について調査を実施。各公衆無線LANサービスの利用者に対して総合的な満足度を聞き、その結果を100点満点の満足度ポイントに換算したところ、通信キャリアでは、NTT東日本・西日本が提供する「フレッツ・スポット」が66.7ポイントでトップ、OCNホットスポットが65.1ポイントでこれに続いた。固定系通信キャリアの公衆無線LANサービスの利用者数は移動系通信キャリアと比べて少ないが、満足度で見ると固定系通信キャリアが満足度トップとなるという状況が過去の調査結果から何年も続いている。
 一方で、通信キャリア以外が運営するものでは、スターバックスの「at_STARBUCKS_Wi2」が67.3ポイントでトップとなり、羽田空港のHANEDA-FREE-WiFiが65.5ポイントで続いた。コンビニエンスストアが提供するWi-Fiサービスは、57.6ポイントと満足度は低い結果となっている。

 昨年の同社の調査結果では、キャリア系事業者ではNTTコムが1位、ポータル事業者ではヤフーが1位であった(参考:「公衆無線LANサービス満足度、キャリア系事業者ではNTTコム、キャリア以外ではヤフーが1位に ―ICT総研調査」)。キャリア系もキャリア系以外も、満足度のトップが入れ替わる結果となっている。また、昨年の結果と比較すると、総じて満足度は上昇傾向にある。公衆無線LAN基地局の増設など、サービス拡大に注力している結果が、満足度として現れているようである。
 
表2.2017公衆無線LAN
 
 

キャリア系公衆無線LANの利用場所は、「カフェ・飲食店」が42.8%でトップ

 通信キャリアが提供する公衆無線LANの利用場所は、「カフェ・飲食店」が42.8%でトップとなった。「コンビニ・ショッピングセンター」(33.7%)、「駅・空港・SA/PA」(33.4%)、「その他」(35.6%)と比較して、利用率が頭1つ抜けている。通信キャリアが提供する公衆無線LANは、喫茶店やファーストフード店などで利用できることも多いことが、この要因になっていると考えられる。
 
表3.2017公衆無線LAN
 
 

「公衆無線LANの利用場所の多さ」 満足割合は、ソフトバンクが65.5%でトップ

 公衆無線LAN利用者の中で特に利用者数が多いのは、MNOのスマートフォン利用者である。このMNOスマートフォン利用者の満足度を、項目別に深堀すると、「公衆無線LANを、利用したいところで使える」という項目で、ソフトバンクのスマートフォン利用者のうち65.5%が「満足」と回答、auが65.0%と僅差で続いた。これは、「公衆無線LANの利用場所の多さ」についての評価であるとも言える。ICT総研は、「(利用場所の多さが)今後も公衆無線LAN利用率の高さに大きく影響を与える要素と考えられる」と分析している。
 
表4.2017公衆無線LAN
 
関連リンク:2017年 公衆無線LANサービス利用者動向調査(ICT総研)
 
  
 

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