北陸新幹線の電波状況はKDDIが下リ平均トップに、今後は回線混雑状況下にも注目
2015年3月17日 19時23分更新
3月17日、ICT総研は「北陸新幹線 スマートフォン電波状況実測調査」の結果を発表した。
北陸新幹線は3月14日に開通したばかり。その全13駅39地点(駅ホーム、改札付近、駅前広場)を対象として各キャリアのデータ通信速度(スループット)の実態を調べた、いち早い調査となっている。使用した端末はNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの各iPhone6。速度測定アプリは「RBB TODAY スピードテスト」を利用。1地点あたり下り通信速度、上り通信速度を各3回ずつ測定し、その平均値をその地点の測定値とした。調査期間は3月14日から15日まで。
調査の結果、平均ダウンロード速度の1位はKDDIで平均平均35.22Mbpsという結果を残した。2位はソフトバンクで平均30.53Mbps、3位はドコモは平均29.85Mbpsと続いている。
1位となったKDDIは平均速度で頭一つ抜けだした成績を残したほか、50Mbps以上の地点が全測定地点の2割、40Mbps以上では全測定地点の4割を占め、高速通信可能な地点数の多さが1位の要因となったようだ。
2位のソフトバンクは特別速い地点はないものの、駅のどの地点でも安定した結果を残している。3位のドコモは唯一下り平均速度で30Mbpsを下回ってしまった。ただし3社中で唯一10Mbps未満の測定地点がないなど、全測定地点で一定以上の速度を記録しているのは評価できるだろう。
アップロードの平均速度ではソフトバンクが1位で平均12.72Mbps。2位ドコモで平均9.15Mbps。3位はKDDIで平均8.14Mbpsとなっている。
今回の調査では3社全ての端末が高速通信「LTE」もしくは「4G」の電波を受信できただけでなく、ICT総研が2013年11月に実施した調査時の平均速度が22.60Mbpsだったのに対し今回は平均37.56Mbpsまで向上していることから、各社の通信網の整備の成果がよく現れた調査であったと思われる。
なお「長野新幹線」の通称で呼ばれていた高崎駅~長野駅間の下り通信速度は平均37.56Mbpsである一方、新規開業した飯山駅~金沢駅間の下り平均は26.99Mbpsと下回ってしまっている。この点に関しては開業に合わせて盛大なイベントが各駅で行われていたことにより回線が混雑してしまったためとICT総研は分析している。今後は通信品質でユーザーの満足度を向上させるためには、ベストエフォートの速度を追求するためでなく、回線の混雑時でも如何に快適な通信環境を提供できるかも考慮する必要があるだろう。
実際、先日NTTドコモが発表した「PREMIUM 4G」でも、ただ高速化を果たしただけでなく、回線が混雑している環境下でも高速通信が提供できる点を宣伝していた。この動きは大手キャリアだけでなく、MVNOのような事業社にも求められるようになると思われる。
なお詳細なレポートに関しては以下のリンクを参照してもらいたい。
・ICT総研:2015年3月 北陸新幹線 スマートフォン電波状況実測調査
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