CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパンは、J.D. パワー 2020年WEB会議システム顧客満足度調査の結果を発表した。
〇離れた場所同士だけでなく、オフィス内リモートでのWEB会議システム利用も一定数
一回目となる同調査は、新型コロナウイルス感染拡大に伴いテレワーク需要が高まる中での実施となった。
調査では、WEB会議システム導入企業の約7割が「半年以内」に使い始めたと回答しており、新型コロナウイルス感染拡大を発端にWEB会議システムによるオンライン会議が急速に拡大したことがうかがえる。
また、WEB会議システム導入企業のうち、テレワークを導入している企業は65%、テレワークを導入していない企業は35%という結果となっており、テレワークを実施していない企業においても、WEB会議システムの導入・活用がされていることが確認できた。
次に、WEB会議システムの利用目的をみると、多い順に「国内の別拠点との会議(81%)」、「国内の取引先との会議(36%)」、「社員の在宅勤務(33%)」と、主に離れた拠点間での会議やコミュニケーションに活用されているものの、「同一拠点内での会議(19%)」での利用も約2割挙がっている。社内でのソーシャルディスタンス対策として、“オフィス内リモート会議“という、従来とは違った会議スタイルが行われている実態も浮かび上がった。
〇不具合やトラブルと満足度の関係、共有画面の画質不具合が最も低い満足度に
WEB会議システム利用中の不具合やトラブルについては、「音声が聞き取りにくい」が35%と最も多く挙がった。続いて「途中、接続が切れる」が26%、「画面共有が遅延する(タイムラグがある)」が17%となっている。
利用中の不具合やトラブルは顧客満足度の低下に影響するが、中でも最も満足度が低下する不具合指摘は「共有画面の画質が悪い・解像度が低い」であった。
対面での会議のように資料配布や投影が行えない環境においては、共有画面がその代替となる。社内・社外どのような会議であっても、全ての参加者が画面を通して会議に参加するWEB会議システムでは、画面が見づらいといった事象は参加する側において特に大きなストレスにつながると推察される。
〇WEB会議システム、半数が販売代理店から導入
WEB会議システムの購入先を聴取したところ、約半数がWEB会議システムを取り扱う販売代理店を通じて導入を行っていることがわかった。IT/OA機器ディーラーや通信事業者がその中心となっている。一方、従業員数100人未満といった中小企業に絞ってみると、このような代理店を通しての導入は少なくなり、WEB会議システムのプラットフォーマーに直接申し込み(契約)をして導入を行っている比率が高まる傾向が見られた。大企業・中堅企業では販売ベンダーから、中小企業では直接導入といった構図となっている。
満足度の観点では、直接契約をして導入を行っている企業のWEB会議システムの満足度は低い結果となっている。不具合の原因切り分けをはじめ、設定や使い方等の十分なサポートが受けにくいことも背景にあるのではないかと推察される。
オフライン会議同様のリアルタイム性が求められるWEB会議においては、少しのトラブルもストレスになりやすいと考えられる。その一方で、不具合の原因やボトルネックの特定も容易ではなく、WEB会議システムのプラットフォーマーにおいても顧客サポート体制の強化は重要となっていくであろう。
◆J.D. パワー 2020年WEB会議システム顧客満足度
総合満足度ランキングは下記の通り。
第1位:Google Meet(617ポイント)
「ユーザーインターフェイス」「料金」「製品機能」の3ファクターで最高評価。
第2位:Zoom(605ポイント)
第3位:Cisco Webex Meetings(594ポイント)
「音声品質」「映像品質」の2ファクターで最高評価。
《J.D. パワー 2020 年WEB会議システム顧客満足度調査概要》
全国の企業を対象にWEB会議システムの利用状況や各種経験、満足度を聴取し明らかにする調査。今回、初めての実施となる。
■実施期間:2020年7月中旬~8月中旬
■調査方法:郵送調査
■調査対象:WEB会議システムを導入している全国の従業員数50名以上の企業
■調査回答社数:1,501社から1,965件 ※1回答企業から最大2つのWEB会議システムの評価を聴取