大企業・中堅企業ではKDDI、中小企業ではNTTドコモが第1位 ―法人向け携帯電話・PHSサービス顧客満足度

2016年8月25日 11時33分更新


 J.D. パワー アジア・パシフィックは、2016年日本法人向け携帯電話・PHSサービス顧客満足度調査の結果を発表した。当調査は、全国の従業員規模50名以上企業の各種電話サービスの管理・意思決定関与者を対象に、主に利用している法人契約の携帯電話・PHS(データ通信カード、タブレット端末は評価対象外)の利用実態や顧客満足度を調べるものである。本年が第8回目となり今年6月に郵送調査を行った。
 
 当調査では、今年から従業員数100名以上の企業を対象とした大企業・中堅企業市場と、従業員数50名以上100名未満の企業を対象とした中小企業市場の2つの市場に分けて調査を行っており、大企業・中堅企業市場で法人契約をしている2,449社、中小企業市場で法人契約をしている1,869社から回答を得た。なお、1回答社から最大2つの事業者(ブランド)の評価を得ており、評価件数は大企業・中堅企業市場で3,085件、中小企業市場で1,991件となっている。
 
 顧客満足度の測定にあたっては、4つのファクターを設定し評価を聴取している。それらの総合満足度に対する影響度を高い順にみると、「コスト」(32%)、「営業対応」(31%)、「電話機・サービス」(27%)、「トラブル対応」(9%)となっている。各ファクターにおける複数の詳細項目に対する顧客の評価を基に、総合的な満足度スコア(1,000点満点)を算出している。
 
 大企業・中堅企業市場における総合満足度はKDDIが第1位(総合満足度スコア641ポイント)となった。以下、第2位はNTT ドコモ(同635ポイント)、第3位はソフトバンク(同605ポイント)、第4位はワイモバイル(同571ポイント)となっている。尚、この大企業・中堅企業における過去5年間の事業者(ブランド)別の総合満足度推移をみると、KDDIとソフトバンクでは2012年と比較して20ポイント以上、スコアが向上している(図1)。

図1_mobile
図2_bz_mobile_phone_phs_j_fn_chart_2
 
 中小企業市場では、総合満足度はNTTドコモが第1位(総合満足度スコア619ポイント)となった。以下、第2位はKDDI(同611ポイント)、第3位はソフトバンク(同592ポイント)、第4位はワイモバイル(同573ポイント)となっている。
 
図3_bz_mobile_phone_phs_j_fn_chart_3
 

モバイルソリューション利用企業の満足度は高い

 当調査では「内線ソリューション」や「メーラー、スケジューラー等の共有・連携・管理」、「ビジネス推進上のシステムとの連携」といった何らかのモバイルソリューションを利用している企業の満足度は高く、利用していない企業と比べて約40 ポイント高くなる傾向がみられている。そういったモバイルソリューションの利用率を大企業・中堅企業市場における2012年調査と今年の調査で比べると、KDDIとソフトバンクは増加傾向にある。こういった付加価値サービスの提供を推進していくことも、満足度向上に貢献する一つの要因として考えられる。
 

法人契約におけるMVNOの利用率、比較検討率はともに低い

 携帯電話・PHS事業者の選定理由は「全体的な通信コストを抑えられる」が最も多く、特に大企業・中堅企業市場では約4割に上り、コストが重視されている傾向が強い。しかしながら、個人向け市場で台頭しているMVNOへの乗り換えの動きは、当調査で対象としている従業員50名以上企業の法人市場においては起きていない。今回の調査では、MVNOの利用率は大企業・中堅企業市場では0.3%、中小企業市場では0.2%に留まり、比較検討される割合もいずれの市場においても1%に満たない。
 
 法人市場における携帯電話・PHS事業者の選定理由はコスト面だけではなく、「通信品質・エリアがよい」、「信頼できる会社/有名な会社なので」、「営業担当者の提案がよかった」、「サポート体制が充実している」といった理由も併せて挙げられている。大手3キャリアと比べて、MVNOではこういった通信品質や信頼感、サポートに対する不安感や、販売・営業体制の弱さが、法人市場において普及が進まない要因と推察される。
 
図4_bz_mobile_phone_phs_j_fn_chart_4
 
 
 

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