リモート保守は「手抜き」と思われがち?――2015年日本カラーコピー機顧客満足度調査

2015年8月6日 09時00分更新


・近年、サポートスタッフが会社に行かず、遠隔で操作するリモート保守が増加

・リモート保守になるほど、故障、トラブルへの視線はよりシビアになる

・メーカーには顧客満足度とリモートによるコスト削減の難しい両立が求められている

 
 
 J.D.パワー アジア・パシフィックは2015年7月30日、2015年日本カラーコピー機顧客満足度調査および、2015年日本カラープリンター顧客満足度調査の結果を発表した。

 当調査は全国の企業(従業員規模30人以上)を対象に、オフィスで使用するカラーコピー機およびカラープリンターの顧客満足度を調べたもの。調査は2015年5月に実施され、カラーコピー機は6,688社から、カラープリンターは2,396社から回答を得ている。
 顧客満足度の測定にあたっては、各機器における総合的な顧客満足度に影響を与える4つのファクター(領域)を設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価をもとに総合満足度スコアの算出を行っている(1,000 ポイント満点)。
 ファクターごとの総合満足度に対する影響度は、カラーコピー機では「商品」37%、「コスト」19%、「営業・導入対応」18%、「保守サービス」26%となっている。カラープリンターでは「商品」47%、「コスト」29%、「営業・導入対応」17%、「保守サービス」8%。

 近年、多くのコピー機メーカーでは保守業務効率化の下、機器の点検方法をサービスエンジニアによる定期訪問点検からネットワークを介したリモート点検へシフトする動きを進めている。本年の調査では3割強の企業がリモートによってコピー機の点検が行われているという認識を示しているが、各社の取り組み徹底によってこの割合は今後増加していくことが予想される。一方、顧客満足度という観点においては従来の定期訪問点検と比べて、「サービスエンジニアが来なくなった=保守サービスが悪くなった」と感じる顧客が増えることも推察され、コストと顧客満足度の難しい両立が求められている。

 本調査では、コピー機の点検がリモートによって行われている顧客の場合、故障・トラブル発生に対する視線がよりシビアになる傾向が見られている。例えば2~3ヶ月に1回以上の頻度による定期訪問点検を受けている顧客の場合、修理が必要となる故障・トラブルの発生は「2~3か月に1回くらい」までであれば保守サービスの満足度は平均を上回る。
 これに対してリモート点検の顧客の場合は「1年に1回未満もしくは発生していない」というケースにおいてのみ保守サービス満足度は調査全体平均を上回る水準となっている。顧客から目に見える活動が少なくなるため、反対にその精度の高さ(点検効果)がより一層重要視されることが背景にあると推察され、リモート点検の推進を徹底していく為には、従来以上に予防保守に対する取り組み品質の向上が欠かせないようだ。

 また保守サービスの顧客満足を向上させる取り組みとしては、メンテナンスや故障修理等の接点局面における提案活動も効果的である指摘されている。サービスエンジニアから「稼働状況を踏まえた利用に関するアドバイス」や「応用事例や新商品紹介等の情報提供」といった提案活動が「よくある」という場合、保守サービス満足度は平均を100pt前後と大きく上回っている。このような保守を行っている立場からの提案・情報提供といった活動は、顧客の目に見える形で保守サービスの良さをアピールする取り組みにもつながり、リモート点検の推進による顧客接点の希薄化を補うためにも今後益々重要となると思われる。

 カラーコピー機の顧客満足度は富士ゼロックスが6年連続で第1位(総合満足度スコア680ポイント)となった。第2位はリコー(同667ポイント)、第3位はキヤノン(同662ポイント)と続いている。

関連カテゴリー