「MM総研大賞2018」発表、「大賞」はNECの次世代イノベーションプラットフォーム『SX-Aurora TSUBASA』ーMM総研
2018年6月19日 12時23分更新
MM総研は「MM総研大賞2018」の最終審査を終え、「大賞」、「スマートソリューション部門賞(分野別最優秀賞)」、「話題賞」、「ものづくり優秀賞」、「次世代映像技術部門賞」を決定した。「MM総研大賞」はICT分野の市場、産業の発展を促すきっかけとなることを目的に、MM総研が2004年に創設した表彰制度で2018年度の今回が15回目となる。優れたICT技術で積極的に新市場の開拓に取り組んでいる企業を表彰している。
「MM総研大賞2018」では次世代スマート社会の核となるスマートソリューション部門 (5分野)で分野ごとに「最優秀賞」を選定。さらにICT産業で大きな話題になった製品・サービスを「話題賞」として、“ものづくり” の分野で代表的な商品を「ものづくり優秀賞」として、それぞれ選出。今回はこれらの賞に加え、「次世代映像技術部門賞」を新たに創設。最終的にこれらの中から最もICT産業の発展に寄与した製品・サービスを「大賞」として表彰。
■「大賞」はNECの次世代イノベーションプラットフォーム『SX-Aurora TSUBASA』
最終選考では安田 浩 審査委員長をはじめとする審査委員会での厳正な審査の結果、「大賞」は、NECの次世代イノベーションプラットフォーム『SX-Aurora TSUBASA』に決定した。『SX-Aurora TSUBASA』は、“スーパーコンピュータは研究開発のツールである”との設計思想に基づき「超高性能」と「使いやすさ」の両立を実現。大規模計算が必要となる科学技術領域に加え、AI・ビッグデータ解析、資源探査、画像解析、セキュリティなどの新しい領域にも活用の幅を広げている。審査委員会では、今後のデジタル革命を支えるプラットフォームとして高く評価し、「ものづくり優秀賞」に加え、全15商品の中で最高の評価に値すると判断し、MM総研大賞2018の「大賞」に選出された。
■「スマートソリューション部門賞」は9件
スマートソリューション部門では5分野(AI、IoT、セキュリティ、スマートデバイス、MVNO)で9件が最優秀賞に選ばれた。
ビジネスシーンのみならず、日々の生活にも浸透が進んでいるがAI。この「AI分野」で最優秀賞に輝いたのがGoogleの『Google Home』と富士通の『FUJITSU Human Centric AI Zinrai』。『Google Home』は、Googleアシスタントを搭載したスマートスピーカーで、話しかけるだけで調べ物をしたり音楽をかけたり、対応スマートデバイスを操作したりと、新しい生活体験をもたらした点や話題性が高く評価された。富士通では『FUJITSU Human Centric AI Zinrai』の展開に当り、国内事業者としては初となるプラットフォーム戦略を推進。AIの導入から運用までを幅広く支援する体制、異業種との共創によるベストプラクティスの事例作りなど、AIの市場開発への取り組みが高い評価を集めた。
AI同様に市場の拡大が進んでいるのがIoT分野。センサー、無線通信、クラウドなど、大量のデータをリアルタイムに収集し、高速処理できるICT 環境の整備が進み、IoTの導入・利活用への動きが加速している。この「IoT分野」では、NTT東日本の『ギガらくWi-Fi IoTサポートオプション』とビッグローブのAndroid(TM) 搭載IoTデバイス『BL-02』が最優秀賞を獲得。『ギガらくWi-Fi IoTサポートオプション』では、IoTデバイス、IoTゲートウェイ、IoTクラウドをセットにした業種別パッケージを提供。運用サポートを付与することで、誰もが手軽にIoTを活用できる点が高く評価された。ビッグローブの『BL-02』は、10軸センサーとLTE通信機能を備えた名刺サイズのIoTデバイスで、Android標準開発ツールを使い、既存のAndroid用モジュールを活用することで容易にアプリケーション開発ができる点などが高い評価を集めた。
ICTをベースとしたスマート社会の根幹を支える「セキュリティ分野」では、日本マイクロソフトの『Microsoft Enterprise Mobility + Security』とハミングヘッズのホワイトリスト型セキュリティソフト『Defense Platform (DeP)』が最優秀賞に選出された。『Microsoft Enterprise Mobility + Security』は、ユーザー認証からデータ保護までのセキュリティ対策を一元的に行うソリューションで、全世界規模で収集した情報をAIで分析し、クラウド上のプラットフォームを通じ、即時に最新のセキュリティを提供できる点が高く評価された。『Defense Platform (DeP)』は、アメリカ商務省のセキュリティ新基準に日本で唯一準拠するセキュリティソフト。割込み型迎撃方式により、APIを監視することで「論理的に」あらゆるプログラムの動作を監視できる点などが高い評価を集めた。
進化が加速するクラウドサービスとともに、機能向上と多様化が進んでいるのがスマートデバイス分野。このスマートデバイス分野で最優秀賞に輝いたのが、ファーウェイ・ジャパンの『SIMフリースマートフォン』。Leicaと共同開発したカメラ機能、AI搭載のハイエンドまで多数の製品を発売。SIMフリー市場の拡大をけん引してシェアNo.1を獲得した実績と将来性が高く評価された。
新たな回線サービスの選択肢として、利用が拡大しているのがMVNOサービスで、市場規模も1,000万回線規模にまで拡大している。このMVNO分野では、楽天の『スーパーホーダイ』と、IIJの『フルMVNO』が最優秀賞に選出された。『スーパーホーダイ』は、通信容量を使い切った後でも最大1Mbpsで使い続けることができ、5分通話かけ放題もセットになった音声SIM限定プラン。低価格を保ちながら通信速度を保証することで、通信サービスへの安心感を与えたことが高く評価された。IIJでは加入者管理機能を自ら運用することで、『フルMVNO』として柔軟なサービス設計が可能となった。国際ローミングや、IoT時代に主流となる機器組み込み型のeSIMの提供など、多様なサービス展開が期待される点が高い評価を集めた。
■「次世代映像技術部門賞」1件、「ものづくり優秀賞」2件
2020年の本格展開に向けて準備が進んでいるのが新通信規格5Gで、高速大容量・低遅延・多数同時接続という5Gの特長を活かした新たなサービスの開発も進んでおり、その一つが映像技術分野。5Gに代表される次世代ネットワーク技術を活用した映像ソリューションの開発・提供に積極的に取り組む企業を表彰する「次世代映像技術部門」では、NTTドコモの『新体感への挑戦』(5G新体感エンタテインメントなど)が最優秀賞に輝いた。「5G」とNTTのイマーシブ・テレプレゼンス技術「Kirari!」を活用し、高臨場感や新体験を伴うエンタテインメントの実現への挑戦が高く評価された。
卓越したものづくりの技術で「先進性」「革新性」などに優れた商品に贈られる「ものづくり優秀賞」では、任天堂の『Nintendo Labo』とNECの『SX-Aurora TSUBASA』(※大賞と同時受賞)が受賞。『Nintendo Labo』は、家庭用ゲーム機であるNintendo Switchと連動する段ボール工作キット。段ボールでコントローラーを作りゲームを全身で楽しめる形に一変させる独創性と、プログラミング的思考を醸成する知育玩具的側面が高い評価を集めた。
■「話題賞」は3件
話題賞では、将来的な影響力が高いと期待される製品・サービス3件が受賞。
三井化学の遠近両用次世代アイウェア『TouchFocusTM』は、フレームのタッチセンサーに触れるだけで遠近を瞬時に切り替えられるアイウェア(眼鏡)。超高齢化社会を迎えた日本で、将来的な影響力の大きさが高く評価された。
日立製作所の『心疾患患者の再入院リスクを高い精度で予測するAI技術』を活用したリスク分析と予防プログラムの実施で、年間約80万円/人の医療費削減が見込まれる。莫大な社会保障費を占める医療費の削減に資する分析を、医療データ活用で実現した点が高く評価された。
ソースネクストの音声通訳機 『POCKETALK』は、63の言語に対応した通訳機。利用者の音声をクラウド上で言語ごとに最適なエンジンを使い翻訳処理を行う。双方向に翻訳できることや翻訳精度の高さ、誰でも簡単に使える操作性など通訳機としての完成度が高く評価された。
以上により、受賞製品・サービスは、大賞 兼 ものづくり優秀賞1、スマートソリューション部門賞9、次世代映像技術部門賞1、ものづくり優秀賞1、話題賞3の合計15件となりました。
◆「MM総研大賞2018」概要
表彰対象
1. スマートソリューション部門 (5分野)
①IoT分野
②AI分野
③セキュリティ分野
④スマートデバイス分野
⑤MVNO分野
2. 話題賞
3. ものづくり優秀賞
4. 次世代映像技術部門賞
5. 大賞
評価基準 /評価方法
◆スマートソリューション部門
スマート社会の核となるスマートソリューションが対象。その対象となる製品・サービス事業全般に対する「認知度」、「信頼性」、「使いやすさ」、「先進性/革新性」、「独創性」、「価格妥当性」、「市場性」に加え、将来性を図る評価軸として、「基盤製品・サービスとしての可能性」(※一つの製品・サービスの上に大きな付加価値市場ができ上がる基盤サービス・製品となる可能性)などの項目を評価基準とする。個人消費者およびビジネスユーザーを対象としたインターネットアンケート(1,500件)、またノミネート企業に対するMM総研研究員による取材活動等による評価を材料として、最終的には外部有識者からなる審査委員会の協議により、受賞企業を決定する。
◆話題賞
「話題賞」は、ICT産業に大きなインパクトを与え、大きな話題を集めた製品・サービスを対象とする。17年度の話題性などに加え、今後のICT業界全体への影響度の大きさも評価基準とする。個人消費者およびビジネスユーザーを対象としたインターネットアンケート(1,500件)を基に選出された製品・サービスに関し、外部有識者を含む審査委員会が、「話題性」や「今後のICT業界への影響度」などを選考基準に、「話題賞」を選定する。
◆ものづくり優秀賞
「ものづくり優秀賞」は、“ものづくり”の分野で、卓越した技術で「先進性」「革新性」などに優れ、市場からも高く評価されている商品を対象とする。
◆次世代映像技術部門賞
「次世代映像技術部門賞」は、5Gに代表される次世代ネットワーク技術を活用した映像ソリューションの開発・提供に積極的に取り組んでいる企業、「先進性」「革新性」などで市場から高く評価されている商品を対象とする。
◆大賞
スマートソリューション部門賞、話題賞、ものづくり優秀賞、次世代映像技術部門賞に選出された製品・サービスの中から、外部有識者を含む審査委員会が、「スマート社会への貢献度」「今後のICT業界への影響度」などを選考基準に、大賞を選定する。