2023年、デジタルサービス界の頂点は「Yahoo Japan」

2023年12月21日 10時30分更新


 視聴行動分析サービスを提供するニールセンデジタル株式会社は、ニールセンデジタルコンテンツ視聴率のデータに基づき、2023年の日本におけるトータルデジタルでのインターネットサービス利用ランキング「Tops of 2023: Digital in Japan」を発表した。
 日本の消費者にとって2023年は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行し、様々な制限が緩和されるなど、日常生活において多くの変化が見られた年となった。デジタルサービスでも高度なAIサービスが次々と登場し、昨年末にリリースされた「ChatGPT」は、ビジネス界において大きな注目を集めた。「Threads」などの新しいデジタルサービスも登場する中、2023年はマーケティング担当者にとって消費者とより効率的にコミュニケーションを取る方法を見直すきっかけも多くあったのではないだろうか。

 2023年のデジタルサービスの利用動向としてPCとモバイルの重複を除いたトータルデジタルのリーチと利用者数に着目すると、上位10サービスの顔ぶれや順位には昨年と比較して大きな変化は見られなかった。利用者数が多かったのは昨年同様に「Yahoo Japan」「Google」「LINE」で、いずれも利用者数が8,000万人を超え、人口の60%以上にリーチするサービスとなっている。一方、検索やSNSに次ぐ第三のメディアとして、リテールメディアにも近年注目が集まっているが、「PayPay」は5,067万人が利用し、大手メディアに並ぶ規模のサービスとして定着してきていることがわかる(図表1)。

トータルデジタルの利用時間シェアに着目すると、利用者数では4位だった「YouTube」は昨年同様1位を維持し、総利用時間の37%を占めていた(図表2)。一方で、10位にランクインしなかったサービスの利用時間シェアは約30%を占めていることから、上位10サービス以外にも様々なメディアが利用されていることがわかる。マーケティング担当者は、利用者数の多い主要メディアだけでなく、利用時間やフリークエンシーなども考慮に入れつつ、キャンペーンの目的に合わせてコミュニケーションの場を選定することが重要になる。
消費者と効率的かつ効果的にコミュニケーションを取っていく上で、各メディアの利用者特性を正確に把握し目的に合わせて活用していくことも重要となる。特に若年層においては物心ついた頃からスマートフォンやタブレットを使いこなし、動画サービスで好きなコンテンツを視聴し、様々なソーシャルメディアで友人やコミュニティと交流している。18‐34歳の利用者数上位10サービスのリーチに着目すると全年代のリーチよりも20ポイント以上高くなっていることがわかる。また、順位においても全体では7位だった「Twitter X」が82.5%で5位にランクインし、全体ではランキング外だった「Mercari」が51.6%で10位にランクインするなど、若年層では全体と比べて特定サービスのリーチが高いことがわかる(図表3)。
ニールセン デジタル株式会社のシニアアナリストのコヴァリョヴァ・ソフィヤは、次のように述べている。
「2023年の利用動向として、利用者数や利用時間シェア上位のサービスでは昨年同様に大きな変化は見られなかったものの、近年注目の集まっているリテールサービスやコロナ禍で利用が増加した動画サービスの利用は定着してきていることがわかります。また、新しいサービスの利用が拡大していくことで、消費者のメディア視聴はさらに分散化されてきています。若年層では全体と比べて特定サービスのリーチが高いなど、メディアの特性によって特定の属性の利用者層が多いケースや利用時間が長いケースもあります。多くの企業に活用される主要メディアだけでコミュニケーションを取る場合、伝えたいメッセージが埋もれてしまい、ターゲットに届かなくなってしまう可能性もあることから、消費者と効率的かつ効果的にコミュニケーションを図るためには、全年代のリーチだけでなく、ターゲットリーチやターゲットGRP、ターゲットのフリークエンシー、利用時間にも注目し正確に把握することが一層重要になります」。

ニールセン デジタル株式会社による調査

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