【モバイルフォーラム2017 基調講演1】説明不足や高齢者トラブル…MVNOサービスで増加する苦情と求められる消費者保護

2017年3月17日 16時40分更新

 テレコムサービス協会MVNO委員会が主催したイベント「モバイルフォーラム2017」では、「MVNOサービスの多様化と安心・安全の取り組み」をテーマに、総務省担当者・アナリスト・サービス提供者などが基調講演を行った。
 本稿では、総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部長の巻口英司氏による基調講演「MVNOの普及促進に向けた総務省の取り組み」の内容についてご紹介する。
 
IMG_6917 IMG_6924

総務省の取り組み

 具体的な総務省の取り組みは大きく分けて2つ。ひとつは「競争政策」。もうひとつが「消費者保護」である。総務省は、携帯電話市場において、MVNOを含めた競争環境の整備を通じ、競争の加速化を促進している。そして、消費者対策として、被害にあいがちな高齢者の方などの消費者政策を重視しているのが現在の政策の流れである。
 

MVNOの普及状況

 携帯電話市場は、MNO大手3社に収れんされた寡占的状況にある。モバイル全体では日本の人口を超える1.6億の契約になっているが、3社が実質的に市場を支配している。その中で、最近はMVNO人気が出てきてはいるが、シェアは2016年9月末時点で8~9%程度というのが現状である。
 MVNOの普及状況については、SIMカード型契約数のシェアが5.1%であり、MVNOのシェアとともに伸びている。MNOとMVNO契約数の純増減数については、直近はMVNOの方が伸びが大きく、利用数はかなり伸びてきている。
 大手携帯電話事業者とMVNOのスマートフォンの料金比較では、大手は1カ月5,000円程度、MVNOは1,000円台に通話料となっており、料金面においても、MNOとMVNOの競争が出てきている。
 
170316mobile1-1 170316mobile1-2
 

競争政策

 総務省による「競争政策」の取り組みは、大きく分けて3つに分けられる。1つ目は「MVNOが大手携帯電話事業者に支払う接続料の適正化」、2つ目が「大手携帯電話事業者によるSIMロック解除の円滑化」、3つ目が「電気通信事業者間の紛争処理手続きの運用による事業者間協議の促進」である。
 
 まず、総務省は「モバイル接続料の算定方法の適正化」として、平成29年2月に省令改正等を実施した。大手3社の接続料の推移は低下傾向にあるが、これをさらに引き下げるため、算定方式の変更を実施。
 接続料は、「適正な原価」と「適正な利潤」を加えたものを「需要」で割ることで算出される。つまり、需要が大きくなればなるほど接続料は減る。客観的に透明な形で計算できるのが一番良いが、一方で、「適性な利潤」に事業者の裁量の余地が大きいため、そこのルールを精緻化した。これにより、MVNOの支払う接続料の利潤は、従来の算定方法と比べて低廉化する見込みである。
 
170316mobile1-3
 
 続いて、SIMロック解除の円滑な実施についてガイドラインの改正を行った。利用者としては、事業者の乗り換えや海外渡航時の一時的な事業者の変更をしやすくするために、SIMロックはない方が良い。そこで総務省は、利用者の利便性を高めるために、平成29年1月にガイドラインを改正した。
 ガイドラインの具体的内容として、平成27年5月以降に発売端末については、SIMロックの無料解除に応じることを導入。また、端末割賦代金の不払い防止のため、最低限必要な期間はSIMロック解除に応じないという処置はOKとした。だが、その期間をどんどん短くして、割賦販売の場合は「100日程度以下」に設定(平成29年8月から適用)。一括払いについては、もっと短くてもいいのではということで、「支払いを確認できるまでの期間」に設定した(平成29年12月から適用)。適用時期にバラつきはあるものの、SIMロック解除ができるまでの期間をできるだけ短くするという形の改正を実施した。
 
 また、利用者にとって端末の選択肢が増え、中古スマホ市場が今後拡大していくという観点から、解約する際に原則SIMロックを解除するということを利用者へ説明するという内容の改正も実施された。
 

消費者政策

 改正電気通信事業法が平成27年5月に成立し、平成28年5月に施行された。その中で、消費者保護ルールの大幅な充実を図っている。このような法律をきちんと実行していくという観点から、総務省では消費者保護ルールの実施状況のモニタリングを行っている。
 具体的には、個別事案の随時調査、毎年の定期調査、あがってくる苦情などの傾向分析を行いながら、定期会合を開催し、問題点や優良事例も含めて、関係者間で共有・検討・評価をしている。そして、必要があれば制度の見直しを実施する。
 
 総務省とPIO-NETに寄せられた苦情相談の傾向として、サービス種別に分解すると、FTTHサービスとMNOサービスの割合が多いが、最近はMVNOサービスに関する相談件数が増えてきている。具体的な相談内容として、説明不足、解約手続き、高齢者トラブルなどがある。MVNOのマーケットシェアが増えるにつれて、これらの相談も増えるのではないかと危惧される。
 
170316mobile1-4
 
 
 

関連カテゴリー