ソフトバンク、アローラ副社長が退任へ、株主の納得は得られるのか

2016年6月22日 13時50分更新


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 ソフトバンクグループは21日、ニケシュ・アローラ副社長(48)が22日付で退任すると発表した。孫正義社長は退任の理由について、「集積する課題の解決や構想の実現に取り組むには、少なくともあと5年から10年は代表取締役社長として当社を率いていく必要があるが、この間ずっとニケシュを当社のトップになるまで待たせてしまう」とし、当面はトップとして指揮を執り続ける意向を示したのに対し、アローラ氏は「数年のうち」にトップに就く意向を示していたことから「両者の時間軸のずれを踏まえ、退任することになった」と説明している。なお、アローラ氏は7月1日付で、同社の顧問に就任する。
 
 アローラ氏は孫社長の後継者候補として2014年に米グーグルからソフトバンクに入社。グーグルで上級副社長を務めたアローラ氏の初年度の報酬額は契約金を含め165億円にのぼり話題となった。そして翌年度の報酬額も約80億円となり、役員報酬のこれまでの最高額であったオリックス・宮内義彦氏の14年度報酬額(54億7000万円)を上回り、国内企業の取締役では過去最高額を更新した。
 
 アローラ氏の在任期間中、ソフトバンクグループではSnapdeal、Ola、Oyo、Grofers、Housingなどインドで最先端の成長ステージにある企業群への投資、韓国や東南アジアなどアジアにおける足場の拡張、そして米国でのポートフォリオ構築やAlibaba Group 株式の一部売却による財務体質の改善などが実施され、孫社長も「当社のビジョン、将来の事業成長計画、またソフトバンクグループ全体の戦略の明確化について考え抜く手助けをしてくれ、世界レベルの事業遂行スキルを持ち込んでくれた」とアローラ氏を評している。
 
 その一方で、同グループの株式を保有する一部の投資家から、アローラ氏の副社長としての実績や適性に疑問を示す書簡が送られ、同氏の解任を要求する声もあがっていた。書簡は米法律事務所ボーイズ・シラー・アンド・フレクスナーが今年1月に送ったとされるもので、アローラ氏入社後の投資成果に対する疑問や利益相反の有無に関する内容を挙げ、内部調査とアローラ氏の解任検討を求めていた。
 ソフトバンクグループは特別調査委員会を組成して法律事務所の協力を得て調査を実施し、6月20日に申し立て内容に対する調査完了を発表。同内容が「評価するに値しない」と結論付けていた。
 
 今回の突然のアローラ氏退任の発表により、再び宙に浮いた格好になったソフトバンクの後継者問題。孫正義という優秀な経営者を悩ます「後継者選び」と「引き際」。「後継者の選定」は、カリスマ経営者によって成長してきた企業の共通課題でもあり、「引き際」を見誤ることでこれまで多くの悲劇が繰り返されてきた。カリスマ経営者が去った後は、合議制的な経営戦略を選択することが経営のセオリーではあるが、会社全体がトップダウンで依存する傾向が強くなっており、カリスマ経営者なきあとに停滞する企業も少なくない。
 
 孫社長は今後の後継者選びについて、「後継者のことは頭にない」と語り、当面は自身が陣頭指揮を執り社長業に集中するという強く意欲を見せている。振り出しに戻った「孫正義」というカリスマ経営者の後継者選び。この問題が再び孫社長本人の口から語られるとき、ソフトバンクはどのような会社に成長しているのだろうか。そして、孫社長はこの経営課題をどのようにクリアするのであろうか。再び始まった大企業の後継者問題に、株主から説明を求める声が相次ぐのは必至である。孫社長のこれからの経営手腕とその結果に、より一層厳しい目が注がれることになるかもしれない。
 
 
 

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